クルネガラにはゾウの形をした巨大な岩山がそびえている。
その姿に目を凝らすと、何か白いものが乗っている↓
ほとんどガイドブックには載っていないが、見る度にびっくりさせられる。
巨大な仏像だ↓
ガイドさんは「新しい、べつにたいしたものじゃない」とわりに冷淡なのだが、観光客としてはすなおに興味がわいてくるじゃありませんか。
しらべてみると、完成は2003年。確かにとても新しいものではある。
ネットの写真を見るとしかし、かなり行きたくなる場所になってきた※ここに引用しませんが(笑)
高さは二十メートルあるようだ。
なぜ?あそこに建設されたのだろう?
ちょっと歴史をしらべてみた。
スリランカの王朝首都は紀元前から一千年以上もアヌラダプーラにあった。
だが、南インドの王朝の侵略をうけて1017年にポロンナルワに遷都。
続く時代にも南インドの王朝は南下侵略を続け、シンハラ人の王朝はポロンナルワも失い、さらに南にあるいくつもの町に遷都した時代がある。
このクルネガラにはパラクラマ・バフー三世が1287年に都をおいて、
約半世紀の間三人の王がここからシンハラ人の王国を支配したのだった。
シンハラ人の王の証である「仏の歯」もまた、このクルネガラにあった時代があるのだ。
※現在は最後の王朝があったキャンディにあるものです
この歴史から、アヌラダプーラとポロンナルワには遺跡と呼べるものが数多く残されており多くの観光客も参拝客も訪れる。
それに比べこのクルネガラは、ずっと大都市であり首都でもあったのに、歴史的な遺構は少ない。
地元の人々から町の歴史を象徴するようなモニュメントを建てようという動きは、1960年代にはじまっていた。
それがかたちになったのは、1997年。クマラトゥンガ大統領が巨大仏像のプロジェクトに対し、街を見下ろすゾウ岩の上の土地1エーカーを使える許可を出したのだった。
コンペが行われ、2001年にはじまった建設はふもとから一キロ半の資材搬入道路を建設した。
岩を平らに削り、風速140メートルにも耐えられる基礎をつくって、土台から約三十メートルの巨大座像は2003年に完成した。
・・・この像へ行く日本のツアーはひとつもない。バスや車でどこまで上がっていけるのかも分からない。
だが、いつか(いつ?)、あの仏像の元からクルネガラの町を見晴てみたいと思った。
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クルネガラは現在でも人口158万の大都市。
19世紀大英帝国の支配下においては1864年にはじめてコロンボ⇔クルネガラ間100㎞の鉄道が開通した町でもある。
↓今でもそれを記念する機関車が駅近くになにげなく置かれている↓
この鉄道は当時栽培していたコーヒーを産地から港まで運び出すために敷設されたものである。
あれから百五十年、未だにまったく電化されてはいないのだが。