Remains of The Accidents

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【読了】 長崎ぶらぶら節

2010年01月09日 | 読書
表題通り長崎を舞台にした作品であり、直木賞後に吉永小百合主演で映画化もされている
作品の舞台となる料亭「花月」は実在のものであり、主人公「愛八」もまた実在の芸妓である

今回実読するまで、この作品に関する知識は全くなかったし
映画もDVDも見ていなかったが、書店でふと手に取り読み始めてしまった



わずか5年の間ではあったが、九州に住んでいたので、なんとなく長崎の言葉
イントネーションなども素直に浮かび、立ち読みしている最中から登場人物たちが生き生きと話を進めてくれた

言葉には神が宿っているという
どんな物語であれ、その言葉やイントネーションからいろんな背景が浮かぶものだ
それは土地であり歴史である

昨春まで5年ほど宮崎に住んでいて九州の言葉には抵抗がない
さらに幸運だったことに、博多出身の同期生がちょうど福岡勤務となっており
福岡出張のときには、地元オンリーの店などに連れて行ってもらえたことから
博多弁の会話も生で吸収できた

九州は山地で区切られたいくつもの国がある珍しい土地であり、九州として
ひとくくりにしてしまうことはできない
関西人からすれば似た言葉もひとやま超えれば違うものだという
実際、宮崎にいても都城方面から北上していく中で薩摩系、児湯系、日向系と
言葉は変わってくるし、当然のことながら気質も変わってくる

本作品はそういった背景もあって、自分にとって頭の中に素直に舞台が用意できた作品であり
作品の秀逸よりも背景によって心に響いた佳作だった

「綺麗かやだろう。ゲンジボタルたい。長崎がおうちば歓迎しとるとやかね。」
「嬉しか」

もう一度じっくりと長崎に行きたくなった
コメント
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