Remains of The Accidents

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【読了】 マンチュリアン・リポート 浅田次郎

2011年01月07日 | 読書

A MANCHURIAN REPORT

「蒼穹の昴」から続くシリーズの最終章である
NHKでドラマ化されたことで随分ポピュラーになっている
貧しき流民の子「春児」を主人公に清朝末期から昭和初期の
動乱を浅田氏独特の筆致で書き上げた傑作

最終章での主人公は、満州の白い虎/張作霖
日本人による東北王/張作霖の爆殺事件を題材にした物語である

小生の両親は旧満州経験者である
亡くなった父親からもよく満州時代の話を聞かされた
彼は南満州鉄道に勤め、奉天近郊の駅にいた
無論、張作霖の爆殺事件は知らない世代であり
どちらかというと大日本帝国がかの地をせしめた後に
大陸に渡っていった世代だ

彼から聞いた満州の話は壮絶で、子供心に俄かに信じがたい
物語のようだったが、周到に取材されたこの小説群に描かれた
冬の厳しさや凍てつく大地の風景は父親の話がまんざら
うそではないことを証明している

このシリーズはここで最終章となるが、時代はここから
大きく舵を切り替えて混迷の時を迎える
蒋介石は台湾に逃れ、シリーズ初期にそっと登場していた
毛沢東が中華を覇することを誰が想像したことだろう
張学良にも天命はなかったのだ




司馬遼太郎の「坂の上の雲」で日露戦争を読み
このシリーズで日華事変までのわが国を外から感じれば
戦争が最も重要な外交手段であることと、ただし
決して起こすべかざるものであることが
理解されるのではないだろうか

祝健康弟兄、壮揚兵馬

コメント
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