近頃、少し思うことがある
自分は極端な右利き、左手でできることはギターのコードを抑えることと
フォークで肉を食べることくらいだ
また、足も右利きのようでサッカーボールは左足でうまく蹴ることができない
幼いころからそうなので原因はわからない
故郷にいる実兄は左利きながら、右手でも字も書ければ箸も使える
さてさて、最近自分はもう少し左手に頑張ってもらうことを考えた
自分は、毎朝ほぼ毎朝コーヒーを淹れて楽しむ習慣がある
して、この数か月間コーヒーを淹れる作業を左手に任せている
果たして、左手は不器用でなかなかうまく淹れられなかった
時にはドリッパーのふちに湯をかけてしまったり、こぼしたりして
なかなかうまくいかなかった
左手にしてみれば、これまではそんな用事を言いつけられることはなく
カバンを持ったり、後ろのブレーキをかけたりすることで自分の役割を
果たしていた
さてさて、人間というものはうまくいかないことにはストレスを感じて
しまう生き物なので、しばしば左手を見つめることになる
そして、その反対側の右手とくらべてしまう
右手は右手で、こんなこともできないかと感じているようだ
実のところ、こんなおかしな話を思うのは
ここのところの奥さんと王子の関係、会話によるものだ
奥さんは、理想像にほど遠い息子の世話にうんざりしているようだ
会話や態度にそれが露呈してしまっている
食事の支度も、毎朝の起床も、尽くしても尽くしても
王子は理想像どころか、彼女の考える最低線にも届かない
一方で、王子はうるさい母親を疎んで、部屋に閉じこもりがちだ
部屋に閉じこもって、ゲーム機、タブレット、スマホと暮らしている
恥ずかしながら、数年間続いているこの状態に自分も解決の途を示せていない
ただ、自分は「できないから」といって左手を切って捨ててしまうことはできない
物理的にできても、その勇気はない
できるまで左手を使うのだ
左手は長年連れ添った相棒だ、切断することなど考えることはない
できるまで左手と一緒に遊んでいく
右手も一緒に遊んでいく
左手も右手も自分のものだから