朝日新聞の土曜版に人生相談のようなコーナーがあって
そこの回答者として時々車谷長吉氏が執筆している
それ以外に何の知識もなくたまたま書店で取り上げた
尼崎、朝鮮人、くすぶり、彫り物、云々
よくぞこんな世界を覗いてこられたと思う
「尼崎のことを、土地の人はある独特の愛着をこめて「アマ。」と言う。」
たしかに「ある独特の愛着」をこめて、しかも少し蔑みながら
自然に使っていた「アマ。」
25年前、父が会社に入ったころの話
仕事で阪神尼崎に出向いたところ、得体の知れないおじさんが
ボロボロ自転車の荷台で「ハブ対マングース」のショウを繰り広げていた
わけの分からん薬を売ろうとしているのだが、サクラのおばはんの演技も
実に面白く、時の経つのを忘れて見入っていたら
約束の時間に遅れて少し叱られた
尼崎から天王寺、実兄の業を背負うかふけてしまうか
本当の関西はついこないだまでこんな背景で動いていたと
実感のあるアマの小説だった
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