この冬は仕事のことでずいぶん疲れてしまった。
そのせいか身体も永年貯めていた弱みを表に出してしまった。
そんな疲れたときに、図書館で南木佳士のエッセイ集から声がかかった。
何か深い縁があるわけでもないのだろうが、これまでの人生でも少し疲れた時期には
なぜかしら南木の作品を手に取ってきたことを思い出した。
最初に「スターダスト」を読んで本棚に並べたのはいつのころだろう。
たしか、そのときも関西から東京に転勤したばかりでずいぶん疲れていたころだった。
南木の小説を一冊読了すると、自分より疲れていた話に自分の心と体がバランスを取り戻し始める。
ただし続けてもう一冊読んでしまうと、南木の疲れの大きさにこちらが疲れはじめてしまう。
なので、南木を読むときは小説であれエッセイであれ、少し間を置いて均衡を維持するようにしている。
今回は、たまたま予約した小説の受け取りが叶わず、代わりの小説を物色していたときに
本棚から声がかかったような流れだった。
20代の若造のくだらない疲れを癒してもらった作家に、還暦近くになってまた癒してもらう。
実際に疲れてしまったことのある南木の言葉が、自分に染み込み、作品の中の南木と対話することで
少し疲れをほぐしているのかもしれない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます