僕の前世はたぶんオランダ人。

おもしろきこともなき世をおもしろく

1300年を巡るタイムトンネル(静岡)

2014年11月30日 | ぶらぶらする

秋の古道を歩いてみたくなり

やってきたのは宇津ノ谷峠。

東海道五十三次の

丸子宿から岡部宿へ抜ける標高170mの峠道だ。

面白いことにこの峠を越すために6つの東海道が用意されている。

1.蔦の細道(平安時代の東海道)

2.東海道峠道(安土桃山時代の東海道)

3.東海道歩行者トンネル(明治時代の東海道)

4.県道208号トンネル(大正時代の東海道)

5.1号線上りトンネル(昭和時代の東海道)

6.1号線下りトンネル(平成時代の東海道)

さぁ、1300年の道のタイムスリップにでかけよう。

まずは道の駅に車を停めて

高架から眺める

平成の東海道(右)と

昭和の東海道(左)。

道の駅の脇にひっそりと佇む

平安の東海道、

蔦の細道の入口。

さっそく平安時代の旅に出よう。

蔦の細道というだけあって

道幅はかなり細い。

しかも薄暗い。

 でぶっちょは通り抜けられないんじゃないか。

というのは大げさだけど、

そこそこ岩を穿ったような道。

小川沿いに20分ほど木陰を上ると峠の乗越。

ここからは下り。

岡部側は日当たり良好でミカン畑なんぞもある。

なにより石畳が整備されており

とても歩きやすい。

小川の源流に向かい上った道が

今度は小川とともに下り落ちる。

不思議な気分だ。

20分ほどで下りきり

岡部側の入り口へ到着。

岡部側は行き届いた公園となっており

この時期は紅葉で川沿いが真っ赤に染まる。

車で奥まで入れる道はなだらかなので

峠を歩かずとも十分に季節を楽しめるだろう。

公園内の水車小屋で昼ご飯。

この日はリンゴとうまかっちゃん。

1300年をめぐる道の旅はこの公園で折り返し。

安土桃山の東海道を通って再び丸子側を目指す。

左が安土の東海道、

右が蔦の細道公園。

安土の東海道は

秀吉が小田原攻めの際に拓いたと言われており

道幅が広く行軍しやすい作りになっている。

5分ほどで道が分かれ

どちらの道も丸子へ至るが

右の道は峠を越える安土の東海道ルート。

左の道はトンネルを歩く明治の東海道ルートとなっている。

ついにやってきました今回のメインイベント、

明治のトンネル!

平安までさかのぼった道の旅は

ようやく明治までやってきたことになる。

トンネル内はしっかりと整備されていて

安全にしかも快適に歩くことができる。

日本初の有料歩道とした開通した明治のトンネルは

ランタンの失火で一度焼失の憂き目をみているのだそうだ。

丸子側の有形文化財プレート。

丸子側の入口の方がいい雰囲気。

トンネルを抜けると雪国ではなく、

宇津ノ谷であった。

トンネルを抜けてそのまま集落へ降りてもよいのだが

ちょっと側道を振り返ると

先ほど分かれた安土の東海道の丸子側入り口。

ここも紅葉がいい具合だ。

宇津ノ谷は山間にひっそりとあり

100年前まで天下の往来を支えたその道も

今は時間が止まったかのように静かに佇んでいる。

左が宇津ノ谷を抜けて明治のトンネルへ至る道。

右は大正のトンネルを抜けて岡部へ至る大正の東海道で

今の県道208号。

宇津ノ谷を背に丸子へ歩く。

から5分ほどでスタート地点の道の駅宇津ノ谷峠。

平成の東海道がお出迎え。

1300年をめぐるタイムトンネルの旅もここでおしまい。

無事に現代へ帰ってきた。

この先もいろんな道ができては消えゆくのかなぁ。