2月 8日

2010-02-08 00:26:35 | Weblog

         ( 二月 )

 

「俳句のポエジー」
俳句は十七音の短詩、ですが詩といっても西欧の詩情「ポエジー」とは大きく違います。
また同じ日本の文化の中にある「歌のポエジー」とも温度差があります。
歌(和歌)と俳句の捉えどころが違うためかとも思いますが,あくまでころころの体験
でしか言えませんのであしからず。
ものの本によれば俳句独特のポエジーは枯淡とか閑寂とか侘しさ、野趣とか俳諧味
らしいのですが、大まかに言えば,咲く梅の枝に鳴く鶯は歌人の歌いどろこであり、
鶯の糞や咲く梅の他人の庭の洗濯物までを詠むことが俳人の新しさ、発見として
詠みこむのが俳句。いかにも大雑把ですが、つまり捉えどころが違うと言いたかった
のです。貴族の芸術であった和歌と庶民の文芸としての俳句です。
文芸であるから俳句をしない人の心にも届くことが大切な事だと思います。それを
俳句のポエジーの一つとも思っています。
難しい語彙、漢字、を並べ知識ぷんぷんの句を見かけますが、その努力が勿体無い。

 

竹林の月の奥より二月来る         飯田龍太

 

暮色もて人とつながる坂二月        野澤節子

 

詩に痩せて二月渚をゆくはわたし       三橋鷹女

 

伊吹嶺に青空触るる梅二月                   桂樟蹊子

 

二月尽天城山葵に涙して                       細見綾子




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2月 7日

2010-02-07 00:19:31 | Weblog

          ( いぬふぐり )

 

思うところが在って,朝から俳書を漁る。
そういえば、夙に感じていたことに、良い句を詠む人たちが増えているのに反して
俳句を勉強している人が少ないことがある。
人がどのように俳句を楽しむかは自由で、それについては言う事はないが、私が
俳句を始めた頃の連衆は自分の作品を詠むことと平行して、俳書や好みの俳人の
句集を読んで,少しでも俳句に対する知識を得ようとしていた。知識といっても特別なものではなく、曖昧な評価でもある詩の世界観やその成り立ちを学んでゆく事で
自分の作品の自信の裏付けとしたのかも知れない。
語れば難しいが、今隣の人に「俳句のポエジー」って何?聞かれたら,どう答えるのでしょう。
俳句をしている者どうしなら分かり合えることも全く俳句をしない人に質問されたら
どう答えるでしょう。
そんな事を自分に語りかけたら,もう一度書架にある俳書を繰る結論となりました。
長い間、ころころの俳句感などを書かずにきましたが、すこしずつまた書いて
みようかなとも思っています。

 

一輪は一語さながら犬ふぐり          片山由美子

 

犬ふぐり空ばかりみて空のいろ         吉本文子

 

跼みたるわが影あふれ犬ふぐり        深見けん二

 

犬ふぐり大地は春を急ぐなり          阿部みどり


 

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2月 6日

2010-02-06 13:17:41 | Weblog

        ( 白梅・紅梅 )

 

白梅の青きまで咲きみちにけり          小坂 順子

魁の白梅既に咲き闌けし              深見けん二

白梅の空は産湯の匂ひかな                       石母田星人


 

伊豆の海や紅梅の上に波ながれ                水原秋櫻子

紅梅や病臥に果つる二十代                       古賀まり子

紅梅の空奪ひあひ咲き競ふ                        大沢光子


  指導者になる人は詩的感覚を合わせ持つ人でないと
  俳句が狭まれてしまって自由に詠むことができない
  具象性はとても大事だけど、それで終ってしまえば上達もそこまで
  虚実綯い交ぜの「詩的真実」を分からない指導者は
  偏狭だというしかないでしょう」  ころころの悩みに答えてくれた友人からの
  メール。 持べきものは同じ思いの大切な友人です。




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2月 5日

2010-02-05 00:10:02 | Weblog

          ( 寒牡丹 )

 

寒牡丹ひらかむとして乱れけり           田中照子

 

寒牡丹紅うすくして菰の中              石川 武

 

晴るる日も影をくづさず寒牡丹            鷲谷七菜子

 

日と月のごとく二輪の寒牡丹                           鷹羽狩行





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2月 4日

2010-02-04 00:10:02 | Weblog

         ( 立春・春告鳥・鶯 )

 

立春の竹一幹の目覚めかな          野澤節子

 

立春やひざのほこりを持ち歩く         細見綾子

 

裏庭で春告鳥のわれを呼ぶ           野村信子

 

鶯のややはつきりと雨の中           深見けん二

 

うぐいすや琴抱かれて門を出づ         加畑吉男


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2月 3日

2010-02-03 06:19:15 | Weblog

          ( 雪 )

 

東京でははじめての積雪になりました。

 

田の雪をころげきて立つ雪だるま         蓬田紀枝子

 

 

 

    節分草

 

今日は節分、さて季語としては・・・そうですね。明日が立春。つまり明日から
暦の上で春となります。節分は晩冬の季語です。

 

湯葉供へあり節分の鬼子母神     細見綾子

節分の月に煙草の匂ひたる      深見けん二

応へざる闇に豆撒き尽したり     上野さち子

豆うたれゐる保母の鬼美しき      宮崎水滴


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2月 1日

2010-02-01 00:03:24 | Weblog

           ( 待雪草・スノードロップ )

 

久々に植物園へ散歩に行ってきました。暖冬と言われても植物の歩みは例年と
それ程変わりはありません。
今開花しているのは、水仙・三椏・黄水仙・雪割草・蝋梅・紅梅・白梅・福寿草・
黄梅(迎春花)・椿・そして今日の写真の待雪草スノードロップです。
スノードロップ、スズラン、スノーフレークは春を告げる花。


東京の天気予報によれば、今晩から明け方にかけて雪とあります。
その前日にスノードロップの開花を見るのは些か出来すぎのようですね。
掲載する例句が検索には有りませんでした。
今日から2月、春はすぐそこです。

 

水音を素手でつかみて春隣り           高梨まゆみ

 

豆腐屋の太き二の腕春隣り             甲州千草

 

自販機の煙草が鳴らす春隣り                        佐藤幸子

 

座蒲団のいろのさまざま春隣り                       飯田龍太


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