踊る小児科医のblog

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1歳になったらMRワクチンを!(院内報より)

2006年04月01日 | こども・小児科
 これまで、「1歳になったら麻疹ワクチンを!」を合い言葉に、全国の小児科医や小児保健関係者が接種率の向上と早期接種に努力を重ねてきた結果、この3年間で全国の麻疹患者報告数は激減しています。
 しかし、ここで油断して接種もれの子が増えてくると、再び大きな流行が繰り返されるかもしれません。

 何度もお伝えしていた麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)の2回接種が、4月から始まります。それに加えて上記の広域化の効果も出てくれば、麻疹制圧の光も見えてくるかもしれません。ここが正念場です。
 これからは新たに「1歳になったらMRワクチンを!」に切り替えて、早期にできる限り多くの子が接種を済ませるよう、引き続き働きかけていくことになります。

 MRワクチンについては、いくつか注意があります。
 5~6歳(幼稚園年長相当)に実施されるMRの2回目ができるのは、当面、MRの1回目をこれから接種する子だけです。(近い将来、麻疹(M)と風疹(R)の単独ワクチンを受けた子にも拡大される予定です)

 ただし、今までMもRも接種していない5~6歳児は、1回目の接種として4月から接種することができます。その場合、2回目はありません。

◎ 1歳児で麻疹または風疹のどちらかしか接種していない場合、あるいは片方に罹患してもう片方は接種していない場合

 このような場合は3月末までに接種を済ませるように市からも通知がいき、この院内報でもお伝えしてきましたが、それでも接種しびれてしまった方に対して、4月から新たな措置として、MまたはRの単独ワクチンを「法律によらない任意接種」として市が公費を負担して無料で接種できることになりました。
 2歳以上の子には適用にはならず自費の任意接種になります。

→ここまで書いて、どんでん返しのニュースが飛び込んできました。(3/31)

 厚生労働省では、このような場合の方のために、数か月以内にMとRの単独ワクチンを定期接種に戻す予定だということです。それ以上の詳しい情報は出てきていません。これは、前号にも書いたように、今回の改正に対して全国の小児科医が半年間強く主張し続けていたことであり、年度末の最後の日になってやっと改めることにしたという行政の不手際と言え、またまた呆れ返っているところです。(もちろん何もしないよりましではありますが)

 それまでに数か月の間、1歳児については八戸市の公費(任意接種)で接種することになりますが、2歳以上の子については、待ってもらうのか、自費で接種するのか、復活した場合にこれまでと同じように90か月までできるのかなどという問題も、今のところ何とも言えません。追加の情報は報道や広報、当院のブログなどをご覧ください。