今日は大安である。なおかつ、私は東京の上司から電話でパフォーマンスレビューを受けることになっていた。ひょっとしたら解雇通告を受けるのかもしれないとの期待を胸に、普段より30分ほど早く起床し、いつもは利用しないバスに乗り、定刻10分前に職場の自分の席に着席して電話を待った。
通常、会社都合による退職の場合、かなりわががまを聞いてもらえるようなので、帰国便はファーストクラスにしてもらおう、とか、帰国して最初の1ヶ月はホテル住まいをさせてもらおう、といった小市民的な要求を考えていた。
しかし、パフォーマンスレビューは形式的なもので、実質的な話はものの5分とかからなかった。ただ、たまたま上司たちが電話をしている傍を、退職で今日が最終出社日という人が通りかかり、その彼の挨拶もついでに受けることになった。仕事ではメールのやりとりしかなく、おそらく会ったことはない相手である。
「○○です。今日が最終です。どうもお世話になりました。」
「あ、いや、こちらこそ。あのさ、○○さん。まだお若いんでしょ?」
「え、は、はい。24です。今年25になります。」
「わっかいねぇ。いいねぇ。」
挨拶したら、いきなり年齢を尋ねられるというのは、相手にとってはきっと新鮮な体験だったと思う。私はその彼の声を眩しく感じた。
電話を切った後、なんだか自分がすーっと沈んでいくような感覚に襲われた。ひとまずファーストクラスで帰国するという線が消えた所為かもしれないし、自分がどうしようもなく歳を取ってしまったという寂寞とした思いにうち沈んだのかもしれない。陰鬱な一日になってしまった。
通常、会社都合による退職の場合、かなりわががまを聞いてもらえるようなので、帰国便はファーストクラスにしてもらおう、とか、帰国して最初の1ヶ月はホテル住まいをさせてもらおう、といった小市民的な要求を考えていた。
しかし、パフォーマンスレビューは形式的なもので、実質的な話はものの5分とかからなかった。ただ、たまたま上司たちが電話をしている傍を、退職で今日が最終出社日という人が通りかかり、その彼の挨拶もついでに受けることになった。仕事ではメールのやりとりしかなく、おそらく会ったことはない相手である。
「○○です。今日が最終です。どうもお世話になりました。」
「あ、いや、こちらこそ。あのさ、○○さん。まだお若いんでしょ?」
「え、は、はい。24です。今年25になります。」
「わっかいねぇ。いいねぇ。」
挨拶したら、いきなり年齢を尋ねられるというのは、相手にとってはきっと新鮮な体験だったと思う。私はその彼の声を眩しく感じた。
電話を切った後、なんだか自分がすーっと沈んでいくような感覚に襲われた。ひとまずファーストクラスで帰国するという線が消えた所為かもしれないし、自分がどうしようもなく歳を取ってしまったという寂寞とした思いにうち沈んだのかもしれない。陰鬱な一日になってしまった。