中間テストおつかれさまでした。もうすぐ期末テストですから、今度は追試にならないようにしましょう。
読書会とは何をするのですか?戦争と平和を考えるというテーマで「みんな地球に生きる人」というのは、少し発想が貧困であるように思います。尤も、その本は読んだことがありませんが。
戦争というものを直接経験していなくても、自分の生まれ育った国は過去に何度も戦争を経験しているわけですから、自分が意識するとしないとにかかわらず、我々は戦争の影響を受けているわけです。その国民としての記憶をどのように意識し、そこから何を感じ取るか、ということが大事であるように私は思
います。中学生にどこまで要求するかという問題はさておき、すくなくとも「戦争はいけないと思います、平和になるように努力しなければならないと思います、チャンチャン。」では戦争と平和を考えたことにはならないでしょう。生徒の立場からすれば、つまらない課題図書を与えられて、それについて何事
かを語るというは難儀なことです。心にも無い模範解答的な感想を語り合ったところで、何も得るものはないでしょうから、いっそのこと、ここはひとつウケを狙うということでよいのではないかと思います。
戦争と平和、ということで自分が最近読んだ本のなかで印象深かったのは以下のような作品です。
フィリップ・クローデル「リンさんの小さな子」みすず書房
淵田美津雄「淵田美津雄自叙伝」講談社
半藤一利「山本五十六」平凡社
内容について書くと、それが先入観となって自分なりの理解の妨げになるので書きませんが、特に「リンさんの小さな子」は機会を見つけて是非読んで欲しいと思います。他にも古典と呼ばれる作品はたくさんあります。時代の淘汰を経て残っている作品にはそれなりの力があります。それが何なのか、自分の目
で確かめてみるのは無駄にはならないでしょう。例えば
レマルク「西部戦線異状なし」新潮文庫
マルタン・デュ・ガール「チボー家の人々」白水社
もちろん、「アンネの日記」や「はだしのゲン」も今や古典の部類に入ることはほぼ確実でしょう。
先週は福田恒存「人間、この劇的なるもの」と上野千鶴子「おひとりさまの老後」を読みました。「人間、この劇的なるもの」は昭和35年に刊行された本ですが、今年2月に復刊されました。確かに、それほど新しい考え方ではないのに、それがいかにも社会一般とは一線を画しているかのような書き方が見られ
たりするところもありますが、シェイクスピアの演劇やサルトルの小説を通して人のあり方を考察するという普遍的な内容を持つ作品なので、最後まで興味深く読むことができました。「おひとりさまの老後」は一見するとハウツー本ですが、人の習性についての著者の深い洞察に溢れており、楽しい内容の本で
した。
今年の年末か来年1月に帰国することになりました。ロンドンの夏はこれが最後になります。ですから、この機会にロンドンへ遊びに来る気持ちがあるのなら、そうして下さい。往復の航空券はこちらで用意します。9月の一時帰国は休暇ですから、君の都合に合わせて柔軟に対応します。
では、また来週。