熊本熊的日常

日常生活についての雑記

相模大野

2011年10月29日 | Weblog
何年か前に、それほど長い期間ではなかったが、それでも数ヶ月に亘って仕事で厚木に通っていたことがある。小田急で本厚木に出て、そこから神奈中バスで10分ほどの所だった。同じ頃に、代々木八幡にあった映像翻訳学校の夜間クラスに通っていた。その後、2005年から翌年にかけてコーヒーの勉強のために月に一回程度の割合で梅が丘近くの焙煎人のところへお邪魔していた。小田急線との縁といえば、それくらいのもので、あとは子供が通っている学校がその沿線にあるくらいか。ただ、子供がその学校に通い始めて半年後くらいに離婚して別々に暮らすようになったので、そちらのほうは間接的な縁とでもいうようなものだ。

今日、初めて相模大野という駅に降りた。グリーンホール相模大野というところへ落語を聴きに出かけてきたのである。新宿から快速急行で30分ほど、急行なら40分ほどの距離だ。小田原方面へ向かう本線と江ノ島へ向かう支線の分岐駅で、乗降客が多いのに驚いた。駅前には商業ビルが林立し、人の往来も活発で、大手私鉄の急行停車駅らしい風情が漂う。駅前から北へ伸びる商店街を行くと程なく伊勢丹に突き当たる。その建物を通り抜けたところに目指すホールがある。駅から最短でホールへ行くには伊勢丹の売り場を通り抜けるようにできている。今日はその通り抜け部分で北海道物産展が開かれていた。店内ではあるけれど通り抜け通路のようでもあるので、物産展が盛況なのか、単に人の動線で賑わっているのかよくわからなかったが、通り抜けるのは楽ではなかった。つまり、この構造は伊勢丹にとっては収益機会をもたらしているということになるのだろう。どうでもよいことだが、この伊勢丹相模原店はずいぶん前にテレビドラマの舞台に使われたそうだ。

今日の落語会は「柳の家の三人会」という花緑、喬太郎、三三の顔合わせ。前座はフラワーというふざけた名前だが、噺のほうはなかなかしっかりしていて楽しみな人だという印象を受けた。今月は10日に子供と一緒に調布で志らく、喬太郎、三三の三人会を聴いたが、喬太郎も三三も今日の方が良いと感じた。落語の専門家ではないので、良いもへったくれもないのだが、なんとなく今日の噺ぶりのほうが好きだという意味だ。

花緑がまくらのなかで語っていたことだが、世の中でいろいろ事件や騒動があっても、こうして落語会に出かけて、そうした物騒な世界から隔絶された平和な世界を味わうというのは幸せなことだと思う。日常を離れて自分の楽しみに浸るというのは、落語に限ったことではないのだが、取り立てて大きな舞台装置を必要とせず、噺だけで浮き世の憂さから一時離れることができるというのは落語だけだろう。あまりそう見えないかもしれないが、これほど深い芸というのは世界に類を見ないと、私は思う。とりあえず日本人でよかったと思う時間を味わうのが落語の世界だ。

今日はこの後、池袋に出て陶芸をする。その後、実家に顔を出して、住処に戻ったときには夜11時になっていた。

本日の演目
「道灌」 柳家フラワー
「笠碁」 柳家花緑
(仲入り)
「ハンバーグができるまで」 柳家喬太郎
「三枚起請」 柳家三三
開演:13時
終演:15時30分
会場:グリーンホール相模大野 大ホール