万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

金貨・銀貨プレミアム付き復興国債―金・銀準備の減少は大丈夫?

2011年12月06日 15時47分53秒 | 日本政治
3年持つと金貨・銀貨=来年3月、復興国債の新商品―財務省(時事通信) - goo ニュース
 財務省は、今後、10兆円を超す復興国債を発効することを予定しており、国民の購買意欲を増すために、新商品として、金貨や銀貨付きの国債を発行するそうです。この商品、発売しても大丈夫なのでしょうか。

 公表された案では、発行される国債は個人向けの10年ものであり、3年後に、同一口座で1000万円の国債を保有する国民に対して1万円の金貨を一枚、100万円の場合には1000円の銀貨がプレミアムとしてもらえるそうです。この3年間の利率は下限金利、つまり最低の0.05%となりますので、いわば、利払い分を金や銀で支払うことになります。発行総額を含めて、詳細についてはこれ以上は分からず、確かなことは言えないのですが、財務省は、この商品を販売するのに、どの程度の金や銀が必要と考えているのでしょうか。財務省の国庫に保管してある金や銀について、国民には、ほとんど情報がありません。政府の金や銀の準備が減少するのですから(貴金属の準備は、ある程度、日本の信用を支えている…)、国会に諮らずに財務省が単独で決定できるとは思えません。また、1万円金貨や千円銀貨は、額面なのでしょうか(案では記念硬貨)、それとも、3年後の金相場を基準として決められるのでしょうか。さらには、個人向け国債は、金融機関の窓口で誰でも購入できますので、国民が購入するとも限らず、”国民向け”の説明にも疑問があります。

 復興資金を調達することは大事なことですが、この新商品には、どこか、不信感が漂います。この案、もう一度検討してみる必要があるのではないかと思うのです。

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