万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国連総会―独裁体制の犠牲者にこそ黙祷を

2011年12月24日 18時18分52秒 | 国際政治
国連総会、金総書記に黙とう…日米韓ボイコット(読売新聞) - goo ニュース
 国連総会では、北朝鮮の要請を受けて、先日急逝した金総書記のために黙祷を捧げたと報じられています。安保理では、この申し出は断られたそうですが、国連総会は、黙祷を捧げる対象を誤っていると思うのです。

 国連憲章の前文には、”基本的人権と人間の尊厳及び価値…をあらためて確認し”とあります。北朝鮮による自国民や他国民に対する過酷な人権弾圧は、国連が掲げている理想とは遠くかけ離れていますし、その張本人こそ、金正日その人でした。この黙祷は、前例を根拠に認めらたそうですが、その前例とは、シリアの元大統領の父親にであるハフェス・アサド前大統領であったそうです(北朝鮮と同様に、世襲社会主義国家という極めて特異な体制…)。シリアにおいても、今なお、独裁体制に抵抗している多くの国民が弾圧されています。国連総会は、独裁者によって無残に命を奪われた数人々のことを、どのように考えているのでしょうか。

 2011年は、アラブの春を迎えました年でもありましたが、この年を終えるに当たって、国際社会に相応しい行為とは、独裁者によって無慈悲に殺害され、あるいは、独裁体制を崩壊に導くために命を捧げた人々を、心から悼むことなのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする