万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

発送電分離と再生エネ法は両立しない?

2011年12月27日 16時34分54秒 | 日本政治
発電と送配電、分離を本格検討…新規参入促す(読売新聞) - goo ニュース
 政府は、電力事業について、送配電事業と発電事業とを分離する方向で検討に入るそうです。その理由は、発電事業への参入を促すための説明されていますが、素朴な疑問として、再生エネ法と両立しないのではないかと思うのです。

 エネルギー市場は、一般の市場とは違って、多様な発電方法が混在しており、しかも、発電コストに大きな開きがあるという特徴があります。例えば、政府のエネルギー・環境会議の検証委員会の試算では、原子力発電の発電コストは、1キロワット時あたり8.9円に見直されたものの、再生エネルギーとのコスト差は歴然としています。特に、太陽光発電のコスト高は突出しており、現状では、40円前後です。つまり、飛躍的な技術革新が起きない限り、自由競争では、高コストの電源は、淘汰されてしまうのです。そして、再生エネルギーが高コストであるからこそ、政府は、「再生エネ法」を制定して、価格管理システムを敷き、あえて競争から保護しようとしているのです

 この側面は、今後、発送電の分離を行い、発電部門を自由化したとしても、必ずしも”自由競争”とはならない可能性を示唆しています。市場の自由競争と政治的保護。政府は、果たして、これらの逆方向を向く二つの政策を同時に進めることができるのでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする