万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

高速増殖炉もんじゅ―試験運転してから判断を

2011年12月11日 15時40分39秒 | 日本経済
もんじゅ、来年度の試験運転見送りへ(読売新聞) - goo ニュース
 政府は、高速増殖炉”もんじゅ”について、来年度の試験運転を見送る方針と報じられています。その理由として福島第一原発の事故による国内事情を挙げていますが、判断の順序が逆なのではないかと思うのです。

 高速増殖炉は、日本のみならず、長期にわたって各国が取り組んできた研究課題であり、今でも、フランス(一時断念したが再開予定…)、ロシア、インド、中国などが、日夜、研究と実験を続けております。この技術が確立しますと、人類のエネルギー事情は大幅に改善され、また、放射性廃棄物から核燃料を取り出すのですから、究極のリサイクル技術でもあります。資源の乏しい我が国にとりましても、ぜひとも、成功させたいプロジェクトでもあり、かつ、人類に貢献する可能性を秘めているのです。この点からしますと、大震災と津波による軽水炉の事故を理由として、この技術の開発を放棄することには疑問があります。ましてや、試験運転の直前で放棄するとなりますと、これまでの技術者たちの努力を全て台無しにするようなものです。通常、技術分野での研究開発の継続を判断する場合には、その主たる根拠は、実験結果となるはずですので、試験運転もせずに政治的に判断するのは非合理的な態度です。

 試験運転を開始し、採取されたデータの分析と解析を充分に行った結果、技術的に実現不可能であることが科学的に証明されて、はじめて”もんじゅ”を諦めるべきなのではないでしょうか。また、”もんじゅ”方式を断念しても、別の方式による高速増殖炉の開発に移行するという選択肢もあります。事業仕分け会議では、縮減の対象となっているそうですが、試験運転もせずに断念することこそ、これまで費やしてきた2兆円の予算の”無駄”となるのではないかと思うのです。

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