万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

EUの財政問題―真の解決方法は産業の活性化では

2011年12月10日 16時08分01秒 | ヨーロッパ
EU、財政規律強化へ…最大26か国が新条約(読売新聞) - goo ニュース
 2011年は、EUにとって、財政危機に見舞われた試練の年となりました。新条約の締結により、今後、財政規律の強化や財政支援制度の整備が進められることになりましたが、この問題の真の解決方法は、産業の活性化ではないかと思うのです。

 産業の空洞化は、先進国が共通して抱える問題であり、EU加盟諸国もまた、経済の停滞に苦しんでいます。産業競争力のあるドイツだけは、ユーロ安の波に乗って輸出を伸ばし、すこぶる順調ですが、財政危機に直面している加盟国ほど経済が沈滞しています。この状況のままでは、たとえ財政危機に対応するための制度を整えたとしても、税収の減少をくい止めることはできません。このため、近い将来、再度、財政危機に陥るか、さもなければ、高い福祉レベルや生活水準を切り下げざるを得なくなるのです。財政とは、VAT、法人税、所得税などの税収そのものに支えられているのですから、産業に活力を欠いては、財政問題も解決しません。

 新たにイタリアの首相に就任したマリオ・モンティ氏は、市場統合の経済効果についての報告書―『モンティ報告書』―を作成した人物として知られております。財政危機にある国ほど、広域市場である欧州市場を活かした、産業重視の政策が必要なのではないかと思うのです。

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