万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

殺人大国のベネズエラ―チャペス大統領が原因か?

2011年12月29日 16時15分45秒 | アメリカ
殺人発生 率、南米で最悪=ベネズエラ(時事通信) - goo ニュース
 ベネズエラと言えば、反米勢力の急先鋒であるチャペス大統領を生んだ国として知られています。対外的には威勢がよいものの、国内では、殺人発生率が南米一という不名誉な立場にあるそうです。

 チャペス大統領は、就任以来、大統領権限の強化に努めてきており、いわば、ベネズエラで独裁体制を敷いています。強権体制下では、警察権力も強化される傾向にありますので、治安維持を徹底しそうなさそうなものの、年間、1万人以上の殺人事件は、何故、起きるのでしょうか。独裁体制において、必ずしも治安がよいわけではないのは、国民に、他者の生命に対する尊重の意識が低下していることに原因しているのかもしれません。つまり、大統領に発する垂直方向の権力でかろうじて犯罪は抑えられているものの、国民間の水平関係では、市民社会に見られるような相互尊重の精神が欠けてしまっているのです。このために、何らかの諍いがあれば、直ぐに殺人事件へと発展してしまうのかもしれないのです。しかも、チャペス大統領の関心が、自己の権力強化にしか向けられていないか、あるいは、犯罪者からの賄賂で警察権力を押さえているとすれば、民間で起きる殺人事件は野放しともなります。

 ベネズエラの治安状況を改善するためには、あるいは、チャペス体制の見直しが必要なのかもしれません。殺人大国となったベネズエラの状況に、独裁体制がもたらす社会の病理が見えるのです。

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