「“にほんが”っていいね。」
昨年秋、院展の入選者数が東京芸大を上回ったことが話題になった愛知県立芸術大学(愛知県芸大)の日本画研究室によるこんなテーマの企画展が、名古屋市郊外の名都美術館(長久手市杁ヶ池)で開かれており、出かけてきました。
この大学では今年4月に文化財保存修復研究所を開設するなど、貴重な絵画などを後世に遺す模写・復元にも取り組んでいて、展示場にも模写作品や技術を紹介するコーナーがあります。会期は7月27日まで。
「伝統に縛られていそうだし、難しそうだし・・・」。日本画についてよく聞かれる言葉です。僕も鑑賞したいという興味は十分だけど、描いてみようと思ったことはありません。今回の展覧会は、そんな人が日本画への親しみを深め、絵筆を手にする動機づけになれば、と企画されたのでしょう。
展示場には、愛知県芸大の松村公嗣学長はじめ教員や卒業生で若手画家らの作品を、各自の創作動機や日本画の面白さなどのコメント付きで展示。
初代主任教授だった片岡球子(1905-2008)が、蔵王連峰をモチーフに「活火山のエネルギーを描いた」という「山頂」なども展示されています。
作品の多くが院展などで拝見したもので、改めて「さすが」と感じます。コメントに目を通すと――。
「筆や岩絵具、膠(にかわ)、水、紙などの画材のバランスを考えながら使うことの難しさを知るが、それが楽しくもある」「底がしれない魅力がある」「描くたびに発見がある」など。「大学に入るまで日本画なんて知らなかった」とか「油絵をやるつもりだった」との記述も。
片岡球子が重要性を説いて始まったという模写・復元。法隆寺金堂壁画や高松塚古墳壁画などを手掛け、現在は名古屋城本丸御殿の障壁画の模写・復元に取り組んでおり、文化財を守るための重要性は一層増すことでしょう。
展示コーナーをひとまわりして、日本画に対する興味と親しみは一層増しました。でも、真似事であっても描くとなると・・・。
「もう少し若ければ」ですね。