新型コロナ禍で休講が続いていた水彩画教室がやっと再開。22日には延期していた愛知県岡崎市でのスケッチ取材にも出かけてきました。
徳川家康の生誕地として知られる歴史と伝統と文化の町。絵の素材も歩けば結構ありますが、今回は高級豆味噌で知られる「八丁味噌」の製造現場に絞りました。
八丁味噌は麹も米や麦を使わず、全て豆で造るイッピン。高さ直径それぞれ2㍍ほどの木桶に原材料を仕込み、大小さまざまな重石を積んで2夏2冬(2年間)かけて熟成させます。
近年は柔らかな味噌も造っているようですが、本来の八丁味噌はやや硬め。贈られた人から「これ、本当のお味噌?大丈夫なの?」との声があったという笑い話を聞いたことがあります。
訪ねたメーカーは、岡崎城から八丁(薬870㍍)の八帖町にある「まるや八丁味噌」と「カクキュー八丁味噌」。まるやは1337年、カクキューは1645年に創業、今も伝統の製法と味を造り続けています。
NHKが2006年に放送、今月から再放送されている連続ドラマ「純情きらり」のロケ地にもなりました。
どちらも熟成中の木桶が並ぶ味噌蔵の中を、味噌の匂いに包まれて歩きました。
一つの木桶で熟成中の味噌は約6トン。過重が偏らないよう円錐形に積まれた石、一番上の石は「まんじゅう石」と呼ぶそうです。
電灯や窓からの明かりが当たる木桶や重石の光と影。使い込まれた桶の木肌の質感、重石の存在感は十分です。
石は市内を流れる矢作川で集めたそうです。
多くの木桶は相当歳月が経ったことを思わせます。「古くなれば古くなるほど微生物が定着して熟成が安定する。100年以上は持たせる」と聞きました。
しかし、新しい木桶の製造や修理ができる職人は今、国内にどのくらいいるのだろう。ここにもステンレスやプラスチック製の桶の時代が来てしまうのだろうか――。そんなことを考えながら味噌蔵を出ました。
「純情きらり」のヒロイン役を演じた宮﨑あおいの手形
見学中に先日の名古屋・鶴舞公園では見れなかったソテツの雌花も。㊦は雄花