リタイア暮らしは風の吹くまま

働く奥さんからリタイアして、人生の新ステージで目指すは
遊びと学びがたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

パラドックスな国

2015年12月18日 | 日々の風の吹くまま
薄日が差して来そうになったり、黒い雲が低く垂れ込めて来たりで、晴れたいんだか、降り
たいんだか、まったく優柔不断。空模様がこれだから、私たちも何となくだらだら。ざっとFB
を上から下まで見渡して、あ~あ。「ソーシャル」ネットワークと言うからには親交の輪を広
げる場かと思っていたら、この頃は何か雰囲気が違って来ている。政治的意見やニュース
を拡散目的で次々とシェアされていて、ワタシの「友だち」には右寄りも左寄りもいて、家族
以外は互いのつながりがほとんどないのに、何だかプロパガンダ合戦に巻き込まれたよう
な気持になる。ワタシとしては別に日和見主義者じゃないんだけど、ちょっとげんなりしない
でもない。

そんなわけでこの頃は政治意見やシェアポストは素通りすることにしているんだけど、それ
でもたまには「いいね」を押したくなるものもある。元エリート金融アナリストのイギリス人の
「辛口提言」はそのひとつ(この人は『新・観光立国論』と言う本を出した人らしい)。観光政
策を例にとって、日本人について奥の深い分析をしていて、日本の「弱み」は一方的な思い
込みで戦略を立てるところだというくだりで、ずっと前に明治以来の外交史について書かれ
たものの中に「日本は外国も同じように考えるという思い込みで臨んでは失敗して来た」と
いうのがあったのを思い出した。

昔次々とやって来るバブル成金の言動を間近に見聞きして以来、日本は世界中から「日本
ナンバーワン」とちやほやされて思考停止してしまったからその後の凋落から起き上がれな
いでいるんじゃないかと考えていた。起き上がれないもどかしさから、外国人の外交辞令に
飛びついて「ほら、日本はすごいんだ」と自信をつけているのかもしれない。でも、そうやっ
て日本がすごい、日本文化が最高と思い込んでしまうと、その自信を保つためには上から
目線になって他の国や文化を相対的に下げなければならなくなる。人間は見下げている相
手の考えや意見は聞かないところがあるから、相手を下げておくためにはまた誰か持ち上
げてくれる他人が必要で・・・。

この人はクールジャパンも「おもてなし」も、日本人がクールだ、最高だと思い込んでいるだ
けで、「外国人の考えに配慮することもなく、単に日本人が「強み」だと思っているものを押し
付けているだけ。そういう意味では失礼ですらある」と言っている。まあ、パラドックスなんだ
よね、ニッポンは・・・。