リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

為替のレートが下がると物価が上がる

2016年01月13日 | 日々の風の吹くまま
窓の外は一面真っ白で、雨が降っているんだか、降ってないんだか。霧かと思ったら、天気
サイトでは「曇り」。つまり、私たちは雲の中ってことなの?まあ、こういうほんとにみごとに
なぁんにも見えない、キツネにつままれたような空間風景もすっかり慣れて、不思議な世界
と言う感じはなくなった。ほんとに窓枠の外は白一色で、写真に撮れるものが何もないもの
で、元々興奮をかき立てるものがないし・・・。

今日はカナダドルがまた下がって、正午のレートがとうとう13年ぶりに対米ドル70セントの
ラインを割り込んでしまったというので朝からひと騒ぎ。アメリカドルを稼いでいるワタシとし
てはカナダドル換算で実質大幅賃上げになるからバンザイだけど、レートが1セント下がる
と物価が1%上がるそうで、手放しで喜んでいられないか。たしかにスーパーに行くと特に
野菜類の値上がりが目立って来て、きのうはトマトが1ポンド(450g)あたり400円だった。
為替の急落で輸入依存の食品が値上がりしたらしわ寄せは真っ先に低所得層に行く。ラジ
オでは栄養士だかが生鮮野菜が高くなったら冷凍ものに切り替えれば栄養的には変わら
ないというけど、何だかなあ。日本で円安になったときはどうだったのかな。

寝ている間にまた仕事が入っていて、今度は何か小難しそうな科学論文。それでも納期が
短い分料金も割り増しだし、「知りたがり屋」のワタシにはいろいろとリサーチできてけっこう
楽しめる分野だから二つ返事のメールを送っておいて、腰が痛いというカレシを引っ張って、
トラックを走らせるためにMarket Crossingへ。カレシは脊椎骨にマイナーながら先天的な
欠陥があって、若い頃から腰痛に悩まされて来たんだけど、運動不足もあって、何かのは
ずみにちょっとギクッとやったらしい。London Drugsで電気温熱パッドを買って、帰って来
て半信半疑で腰に当てていたカレシ、「何だか調子が良くなった気がする」。そうそう、痛い、
痛いとこぼすだけではいつまで経っても痛いもんなの。

腰の調子が良くなってアップビートになったのか、ダイエット?中でお酒を控えているのに、
マティニを2人分作ってしまって、グラスになみなみ。少しはドジなバーテン氏に引き取って
もらったけど、ワタシは「ラスベガスサイズ」のマティニを片手に夕食のしたく。あ~あ、これ
じゃあ今夜は仕事にならないかも・・・。

☆流れて行く雲を眺めていたい

2016年01月13日 | 日々の風の吹くまま
1月12日。静かに新しい年が明けた。シアトルのスペースニードルの花火をテレビで見ながら、冷えたシャンペンで乾杯するのが我が家の年越し。でも、ハロウィンの夜と同様に遠くに見渡す限りぐるりと花火が上がって、近くで上がるもの以外は音が聞こえないけど、賑やかな年越しになった。2人の生活に地殻変動のような大きな変化があった2015年を見送るのにぴったりだったかもしれない。明けて西暦2016年。日本では平成時代だと言う以外はもう何年なのかわからなくなった。カナダに来て今年の5月で満41年・・・。

[写真] 元旦の起床は午前8時。日の出は午前8時8分なので、着替えもせずにカメラを抱えて初日を待った。上空は雲ひとつない正月晴れ、眼科は一面の濃霧。新居探しで一番最初に内覧に行ったマンションの上だけが霧の上に出ている。最上階のワンフロアを独占していて、エレベーターのドアが玄関ドアという不思議な部屋だった。急な坂の途中だし、結局落ち着いた今の我が家と比べると買い物の便はあまり良くなかったから、買わなくて良かったな。ベーカー山を背景にして霧の海に浮いて見える高層ビルは川向うのサレーのタウンセンター。川も橋も、何にも見えない・・・。

[写真] 霧が少し薄れ、青空を背にしたカスケード山脈の一点が金色に染まって、2016年の初日の出。

新年のトップニュースは79年も年越しパーティのコンサートで『蛍の光』を取り仕切ってきたバンクーバーの「スイング王」ダル・リチャーズの訃報。享年97歳。明けて5日は98歳の誕生日のはずだった。戦前からホテルバンクーバー最上階にあった人気クラブ「パノラマルーフ」のバンドリーダーとして、クラリネット奏者、サックス奏者として活躍した「レジェンド」。2015年の大みそかパーティは80回目になるはずだったのが、体調を崩してキャンセル。常々「オレは大みそか男だ」と言っていた通り、新年まで残すところあと10分で行く年と共に逝ってしまったというから、まさに新しい伝説の誕生・・・。

2016年がどんな年になるのか見当もつかないけど、今年は落ち着いたご隠居さん暮らしの構築に本腰を入れる年かな。世界ももうちょっと落ち着いてくれるといいんだけど、見渡す人間世界には「何が何でもノー」、「何が何でも嫌いなものは大嫌い」、「何が何でも誰かのせい」、「何が何でも他人の言うことは聞きたくない」というpigheaded(石あたま)な人間が多すぎて、こればっかりは五里霧中・・・。

[写真] 朝から1日かけてぼちぼちと作った我が家の「元旦の祝い膳」。春慶塗の3段重箱の一番下にロブスターの柚子蒸しとあわびの酒蒸しと日本の友だちから差し入れの「鮎巻き」。上2段はそれぞれ紅白のウズラの卵、紅白のかまぼこ、筍とごぼうとにんじんの煮しめ、ごぼうとインゲンとにんじんの卵焼き、差し入れのアサリの甘辛煮。ご飯は煮しめと一緒に煮た四角い油揚げでカニとえびのいなり寿司風とサケとイクラの寿司に、差し入れの吸い物を添えて、お酒は桃川がオレゴン州で作っているにごり酒。思いっきりの「何ちゃってお節」ではあるけど、その場で思いつきながら作るもので、毎年少しずつ違うのが極楽とんぼ流といったところ・・・。

[写真] 1月4日。お正月の連休が明けて早々に雪。地面は雪景色、川は霧、上は曇り空。気温は0度。積雪量は2センチくらいでたいした雪ではないけど、今までのように歩道の雪かきの心配をせずに高いところから観賞できるのはうれしい。そういう気分で見る雪景色はまるで水彩画のようでため息が出るほどきれい。クィーンズパーク地区の家々の間に立っている樹木は、真っ白になっているのは広葉樹、色が濃いのは針葉樹かな。融けてしまわないうちにさっそくルーフデッキに出て「雪遊び」・・・。

[写真] 高さは20センチそこそこでスノーマン(雪だるま)と呼べる大きさじゃないから、「スノーベイビー」かな。つぶらな瞳はブルーベリー、ふっくらした唇はフクシャの落ち葉で、頭にアレカヤシの枯れた葉をちょこっと飾って、なかなかかわいい雪だるまができた。もっとも、午後には気温が上がって目も当てられないくらいにへたれてしまったけど、束の間であってもちょっぴり童心に返った気分で楽しかったな。

連休明けにさっそく固定資産税の課税ベースになる不動産評価額の新居に移って初めての通知書が来て、去年の7月1日時点での評価額は前年度比12%アップ。バンクーバー市内の戸建ては25%前後の上昇率で、あまり環境の良くない地区の小さなボロ家でも1億円を超えたらしい。何年も下がる下がると言われながら、何だか値上がりが雪だるま式に加速しているような感じがするけど、査定は6ヵ月も前の価額で、現実にはすでにさらなる値上がりが進んでいるらしい。今旧居を新築用地として売ったとしても1億5千万円は下らないだろうけど、夢のマイホームを建てるためにほぼ私たちの言い値で買ったあの若夫婦にはもう手が届かないだろうし、この新居と同じ条件の物件は稀少だから、売ったときに売って、買ったときに買ったのが一番だったと思う。ちなみに、BC州内で最高の評価額がついたのはヨガウェアブランドのLululemonの創業者の邸宅で、何と63億円!雪だるまもこんだけ大きくなると・・・。

1月6日。弁護士のリチャードの事務所から送られて来た遺言書の最終稿を点検。夫婦でお互いを遺言執行人に指名してあるけど、問題はどちらかが生き残ってひとりになった場合の代替の執行人をどうするか。私たちには子供がいないし、甥や姪に遺産を残さずに遺言執行人の大役だけを押し付けるのも何だからと、結局リチャードの事務所(またはその継承人)を指定することにした。ワタシの遺言書には葬儀はせずに遺灰を太平洋に撒くという指示、委任状には植物状態になったときに延命治療を拒否する権限を明記してあるんだけど、名前だけ変えてワタシのと同じ内容でいいというカレシにそこまで同じにしていいのか確認したら、「死んだ後のことはオレは知らんから、好きにしてくれていいよ」。そうだなあ、いずれは太平洋で2人一緒になって、潮流に任せて西へ東へと漂うというのもいいかもしれないね。委任状やら代理契約書やらと何ページもある書類が増えたけど、15日にサインが済んだら、いわゆる「終活」が無事終了して、後は気ままな老後の暮らしを堪能するばかり・・・。

北から北東、東、南東と視界をぐるりと取り巻く山並みと視界いっぱいに広がる空を見ていると、眺望など3日で飽きるという話は誰かの妄想だったんじゃないかと思う。雲の形は刻々と変わるし、空模様も刻々と変わる。冷え込んだ日、夕暮れが迫る頃の山の景観はひときわダイナミックに変化する。カレシの一眼レフを借りて、ズームインしてみたら・・・。

[写真] ゴールデンイアーズ山系
[写真] 冷え込みを予告するような夕暮れの空
 [写真] 山腹のピンクは夕日の色、山頂のブルーは空を行くひと筋の雲の影
[写真] 「見返り羊」と言ったところか。「未年」はもう去年の話・・・。

今年は(そして来年も、再来年も)空を流れて行く雲を眺めながら、ほんとにのんびりしたペースで暮らしたいな。そういえば、今年は「一年の計」を立てることすら思い立たなかった・・・。