リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

自閉症の世界を垣間見たような

2018年09月14日 | 日々の風の吹くまま
9月13日(木曜日)。曇りときどき晴れ間。傷めた右肩は朝一番にサロンパスをペタッ。ロー
テーターカフは4つの筋肉と腱が上腕骨とつながって、腕を動かすときの肩のバランスを取
るんだそうで、図を見たら、うわ複雑。一番痛いのは右腕を体の左下から斜め右上に動か
すときで、痛むのは肩のやや後ろ。カレシが「それじゃあテニスはできないなあ」。あのぉ、
ワタシ、左利きなんだけどぉ・・・。

きのうのオープニングナイトのレセプション会場だったバンクーバーテニスクラブは由緒ある
屋敷町ショーネシー地区が近くて、百年以上の歴史を持つ金持の社交場で、加入するのに
2百万円以上かかって、月々ン万円の会費がかかる会員制クラブ。駐車場を見たら、うん、
ベンツがずらりという感じ。今シーズンからADC(芸術監督サークル)の会員のカテゴリー
を6つから4つに減らして、特別イベントの招待枠を上3つのカテゴリーのメンバーに絞るこ
とにしたそうで、ADCのメンバーシップ+各種ファンドレイジングで毎年70万円以上は寄付
しているワタシは2番目の「Transformational」というカテゴリー。まあ、上級チアリーダーの
つもりなんだけど。

シーズン第1弾『The Curious Incident of the Dog in the Night-time』(『夜中に犬に起こっ
た奇妙な事件』)はすごく感動的。自閉症を持つ15歳のクリストファーが近所の飼い犬が殺
されているのを見つけたのが発端で、犯人探しから始まって、死んだと教えられていた母親
がロンドンにいることを知って母親探しに家出し、最後は自分の未来探しというのが縦糸で、
特異な子供を持った親の葛藤や周囲の困惑が横糸。幻想的なミニマリズムのセットを背景
に、ストーリーは「場」の切れ目がないままどんどん進行。クリストファーの抑揚のない語り
口にぐいぐい引き込まれて、ああ、これが自閉症児の世界なんだということがわかった気が
した。(クリストファー役の演技コーチとして自閉症を持つ俳優が制作チームに加わってい
た。)

駅や雑踏の騒音やボディタッチに悲鳴を上げながらも何とかひとりでロンドンまで行って来
て、数学のAレベルに合格したら次は物理、そして将来は科学者というクリストファー。自
閉症の脳は配線が整理されずに複雑なままだそうだから、その内なる世界では常にとてつ
もなく多彩な思考が交錯していて、そこにはいわゆる健常児が成長する過程で失ってしまう
思考経路も残っているに違いないと思う。いわば異端児なだけなのに社会からのけ者にす
るなんてもったいない・・・。