首里城の火災後、再建する為に石垣島からも5~6本のオキナワウラジロガシ(ブナ科)を調達する、と県(国)から通達があり、石垣市長や一部の人は「名誉な事だ」と言う事で、内々に条件に合うウラジロガシの巨木を探していました。その後候補に挙がったのが今回の巨木達です。
「名誉な事なのか?」
この話がオイラ達自然関係者や崎枝地域に棲む方の耳に入ってから即座に「絶対反対!」と言う意見で一致しました。何故なら、ウラジロガシは名前の通り樫の仲間なので物凄く成長が遅く、その代わりに固くて丈夫な材になります。地域によっては国指定の天然記念物になるくらい立派に成長し、日本最大種のドングリを作る事でも有名です。いわば豊かな森の象徴なのです。台風の通り道になっている石垣島では風当たりの強い尾根などでは育つ事が出来ず、強風が当たらない自然が色濃い谷間などに生えています。細く見えても成長が遅いので樹齢100年とかはざらで、しかもこの巨木達は皆、自然木なのです。
また、地域の人が「せめて切られる樹々にお祈りを捧げたい」と石垣市に頼んだそうですが、「場所を教えると人が見に行って環境破壊になる」と言って教えてくれなかったとの事です。
「えっ、環境破壊って?!」
良い意味で石垣島は沖縄と比べまだまだ信仰や祭事などが色濃く残る地域です。それなのに地域の山を長く守り続けてくれた樹々が切られるというのに祈りを捧げられないのは、かなり心がわじわじする事なのです。
その後オイラは必死に探しまくり、候補木も含め幾つかのウラジロガシを見つけました(全部ではない)。その1本目がこの木です。威風堂々、何て素晴らしいんでしょう! もちろんオイラ達より歳上です(笑)。
目の前で良く見ると木肌の周囲に均等にこんな傷跡がありました。
詳しい方に聞いて見ると、周囲に突き刺して中に空洞が無いかなどを調べる「樹木診断機」の跡じゃないか?との事です。検索すると直ぐ出て来ます。
ウラジロガシが育った森です。様々な樹々、様々な生き物、菌類などが共に暮らし助け合い、流行りの言葉でいう「多様性」って奴を生で見る事が出来ます。机上でいくら勉強したってなかなか実感がわきませんが、現場に行って直に見たらすぐに分かります。
豊かな森(山)は沢山の酸素を作り、そして水を貯め込み、ゆっくりと地下を流れ栄養を蓄え、やがて海へ辿り着き、海の生き物達の命も支えます。もちろんオイラ達人間も。
オイラ達はウラジロガシを守る為に県知事に訴えたり、チェンジオルグと言うネット上の投票サイトを使い世間に訴えたり、やれる事はみんなやりました。
その日は突然やって来ました。
別件で沖縄県副知事が石垣にいらして、我々にもう一つデカい環境破壊の現場を案内・説明して欲しいと言う事で現場を回っていた時です。石垣島最大のマングローブ林・名蔵アンパルの橋の上で説明を終え、後ろを振り向くと屋良部半島。一緒にいたYさんが「以前お話しました屋良部半島のウラジロガシも何とかならないでしょうか?」と言った感じで尋ねると「あぁ、あれはもう中止になったでしょ、違うか?」とお付きの人をチラ見、「余りにも地元の人の反対が多かったので切れない、と言う事になったはずだよ」との事でした。
オイラ達は唖然として言葉が出ません。
暫くして「あれは本当なのかな?、勘違いしいてるのかな?」
と言うくらいこの時は半信半疑でしたが、別の方面に探りを入れて見るとどうやら本当だと分かり、やっと現実味が出て仲間に連絡し喜びあいました。ただ沖縄県の正式発表までは広めないで欲しいと言う事で、たしか1月31日の正式発表までは内々で黙っていました。
アチコチからから「おめでとう」の連絡が来て、内地から応援してくれていたお客様にも連絡し、大変喜んで頂きました。「黙ってないでチャンと声を出せば叶うんだね!」と沢山の人から言われたのが印象に残ります。
日本中で反対票を投じてくれた方々、激励の言葉をかけてくれた方々、心配してわざわざオイラを探しあて内地からウラジロガシを見に来てくれたお二人、等々。
この場を借りてお礼申し上げます。
ありがとうございました m(__)m。
#リフトアップ石垣島エコツアー #オキナワウラジロガシの巨木
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます