

昨日も雨、今日も雨、明日も雨・・。
今年は、こんなうんざりするような梅雨ではありません。
ザ~ッと降ってもすぐにやみ、太陽と青空にも恵まれます。
ただ今日は、雨は降らないながらも灰色の重苦しい梅雨空。
それでもふと気付けば、音もなく静かに雨が降っていたりもして。
いずれにしても、たいした雨ではありませんが。
とは言え、やはり梅雨は梅雨。
暑いような寒いような・・スッキリしない気候も然る事ながら、
鬱陶しい事に変わりありません。
こんな時、ふと口を付いて出るのは、
「巷に雨の降る如く わが心にも涙降る」
という、ヴェルレーヌの詩。
尤も、そらで言えるのは、このフレーズだけ。
折角ですから、重い腰を上げて全集を紐解いてみました。
「巷に雨の降る如く わが心にも涙降る
何だろうこの物憂さは しとしとと心の内に忍び入る
おお雨の音 地上にも立ち並ぶ屋根の上にも
この倦怠の心には 雨の歌 おお静かな響き・・・」
~と、こんな風に続きます。
(因みに雨の多いロンドンでの作との事)


【背景は 「半夏生」 の白】
さて、そんな今日。再び白薔薇が咲き始めました。
折しも庭を席巻する 「半夏生(ハンゲショウ)」 を背景に。
どちらかと言えば苦手な物憂い雨も薔薇に降ると思えば、
途端にロマンティックな気分になりますね。
ちょっとした女学生気分・・?
そう言えば、女学生という言葉、最近、使わなくなりましたね。
それこそ、今日の白薔薇のイメージでもあり、
気品ある素敵な言葉ですのに。
つい先日も記しましたが、ヴェルレーヌの詩は、
樹木を打つ雨、柔らかい土や池の面に降り込む雨、
それぞれ音を立てて降っていた時代があった事を思い起こします。
振り返って窓を閉め切れば、ほとんど何も聞こえなくなった現代。
音を失った虚無の時代かも知れません。
今日などは少々、肌寒いけれど、
たまには窓を開け、賑やかだった時代に思いを馳せながら、
雨の音楽に耳を澄ますのもいいかも知れませんね。