だって見たいんだもん!

映画と共に生きてきた私。大好きな映画と芝居と絵画をメモします。

未完の結末は?

2008-10-14 21:05:59 | 演劇
芸術の秋、面白そうな芝居を見に行きます。渋谷区、初台にある新国立劇場 中劇場で上演の「山の巨人たち」です。この劇場は1997年10月10日杮落し、オペラ劇場、中劇場、“The Pit”と呼ばれる小劇場を持っています。上演されるのは、オペラ、演劇、バレエ、現代舞踊など。

私もよく出かけますが、今回は友人のお誘い。未見です。「山の巨人たち」の原作戯曲は、イタリアのノーベル賞(1934年受賞)作家ルイジ・ピランデルロ(1867~1936)の作品。この作品は、作家の未完の絶筆となったものだそう。うむ。

現実社会に絶望し、世間から隔絶した山の中の別荘“ラ・スカローニャ”に住む魔術師コトローネ(平幹二郎)。ある日、この別荘に落ちぶれた旅の一座が来訪。団員たちは、一夜の宿を借りに来たのでした。

主演女優のイルセ(麻実れい)は、自分を伯爵夫人と名乗り、正気と狂気のはざまを行ったり来たり…。その晩、一座の面々は幻想的な夢の中に引き込まれるという不思議な体験をします。翌朝、コトローネは彼らにある提案をします。『山の巨人と呼ばれる、2家族の結婚式の余興に芝居をしてみてはいかが?』

イルセは、天才的な演技力を持つ一座の看板女優。これまで色仕掛けで作家を誘惑し、芝居の完成後、作家を捨て自殺に追い込んでいました。団員はそうとは知っても、イルセから離れられず今も一緒に旅をしていたのでした。

この奇妙な舞台設定の面白さ、どんな結末が待っているのか…、と思っても戯曲は未完成。その結末を演出したのが、フランス演劇界の鬼才ジョルジュ・ラヴォーダン。本来4幕ある戯曲は3幕で終わっているため、タイトルの“山の巨人たち”は登場していないのです。

戯曲が書かれたのは1936年で、当時のイタリアは独裁者ムッソリーニ率いるファシズムの時代。ピランデルロが思い描いた“山の巨人たち”とは、そんな重苦しく、自由のない、時代そのものだったのかも…?いったい、どんな結末が私たち観客を待っているのか?

出演者は他に手塚とおる、田中美里。さぁ“高級なおとぎ噺”を見に行きましょう。
コメント (1)
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