『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

誕プレ古酒

2018-10-31 06:58:00 | 食物・飲物
歳と共に
物欲がなくなってきた。

あれが欲しい、
これが欲しい、
というのがないのが
ボンビー暮らしには
幸いである。

人並みにお腹は空くけど(笑)、
あれが食べたい、
これが食べたい、
も稀薄になってきた。

それでも、
生来のネオフィリア(新奇好き)の
傾向はまだ衰えていないようだ。

なので、
まだ、行ったことのない
食堂やレストランを検索しては、
休日にわざわざ出かけている。

それも、
半分は、10年来続けている
グルメ・サイトの
ネタ探しの為かもしれない。

その意欲がなくなったら、
そろそろ、
人生店じまいだろう。

父は71歳で
末期癌で亡くなったが、
晩年は、家族で食卓を囲んで
「喰うのも飽きた。
生きるのも飽きた」
とポソリと漏らした。

抗がん剤や
全身転移で
辛かったんだと思うが、
それは、なんだか
遣る瀬ない言葉だった。

そっか・・・。

自分はまだ、
とりあえず、生きるのに
飽きてはいないなぁ・・・と、
思ったが、
いささか飽きかけてはきてるなぁ・・・
とも感じてはいる。

フレンチ創作も
それが食べたいがゆえではなく、
プレートというキャンバスに
素材を用いてドレッセという
技法で「美」を創出したいのが
モチベーションなのだろう。




この時節になると、
毎年、恒例の
自分への誕プレを考えるが、
還暦イヤーの去年は
とうとう欲しいものが
考えつかず、
『我レ還暦ル』
という記念冊子を
上梓しただけだった。

その前年は、
ユーチューブにあった
ソプラノの波多野睦美と
リュートの「つのだたかし」の
デュオに聞き惚れて、
CD4枚を誕プレとした。

毎年、
予算は一万両と
決めている。

それでも、
ボンビー・トーチャンにとっては
清水舞台もんである(笑)。

1年間ガンバッた
自分へのご褒美だから、
大盤振る舞いである(笑)。

「誕プレ」で
過去ログを検索したら、
毎年、きちんとアップしてあり、
ディナー・プレート、
ドレスシャツ、
スワロフスキーのカフリンクス、
8トラック・レコーダー、
セカンド・バッグ、
焦げ茶靴、
などがそうだった。

バッグはヤフオクで
「1円」で落札した
「バレンチノ」でなく
「バレンチ」という
パチモン品だった(笑)。

こないだ、
ちょいと洒落た夫婦を
買い物先で見かけて、
カミさんがルイ・ヴィトンの
バッグを持っていたが、
ダンナが「バレンチ」だったので、
ははん、連れのんも
「ロイ・ヴィトソ(そ)」かぁ・・・と、
ニンマリしてもうた。

(。・艸・) ウプ・・・




久しぶりに、
ヴィンテージ・ポルトが
飲んでみたくなり、
アマゾンやヤフオクで
誕プレに託けて
「1957年」をいくつか見つけたが、
さすがに、いずれも高額で
三九八(サン・キュッ・パッ)が
最安値だった。

これでは、
一万両縛りを
大いに逸脱して
≪誕プレ基本法≫違反に抵触する。

脳裏で
10回クレジットで
月4000円の借金かぁ~、
なんて先走ってるから・・・

(・・*)ゞ イカン・イカン

・・・と、法令順守をと戒めた。

年金まで
まだ数年あるし、
それかてスズメの涙?
ナツは院に進むし・・・。

そんなんで、
バースデイ・ヴィンテージは諦めて、
予算内で買える
「1982年」物にした。

これは
メジャー・ネゴシアン(業者)じゃなく
36年物ながら
ハイコスパの掘り出しもんやった。

ほんまは
一晩から数日休ましてから
抜栓すべきなのを
早くテイスティングしたい一心で
愛用のソムリエナイフで
慎重に抜栓を試みた。

古酒のコルクは
経年劣化でたいていは
モロモロになっており、
途中でぶち切れるおそれがある。

若いワインなら
神経を使わずに
キュキュキュ、スポッと
気軽に抜けるが、
ヴィンテージ物では
何度も痛い目に遭っており、
壜のなかに千切れたコルクやカスを
落っことしてデキャンタ(ろ過)する
羽目になったことも度々ある。

36年物との格闘も
さすがに手強かった。

深部までスクリューを廻し入れたが、
テコで引き抜く途中で
やっぱりモロリと
上半分から断裂した。

ε=ε=ε=ヾ(*。>◇<)ノ ヤッテモタァ!

でも、
そこから冷静に、
さらに深部までスクリューを
全身≪ジェットモグラ≫になり
(サンダーバードの掘削機)、
慎重に廻し進める。

そして、
そぉーっと、ゆっくり、
しんちょーに、
チリの炭鉱やタイの洞窟で
遭難者をサルベージするように、
下半分のコルクを摘出した。

最後の一瞬は、
カスが壜内に落下しないように、
大胆に・・・
気合を入れて・・・

工エェ─イッ!!ヽ(`(`(`ヽ(`Д´)ノ

・・・と、
円明流居合で習った
抜刀術のように
キュポーンと抜いた。

見事!
カスは落ちず!
我れ、為し遂げりぃー!

♪ヽ(´▽`)/ ヤタ~!

褐色化した古酒を想定して
補色のグリーン・ステムの
グラスを用意した。

いよいよ、
テイスティング。

(///ω///) ドキドキ

先ずは、色を愛でる・・・。

やはり、いくらか
アンバーがかっており、
その中に微粒子の澱(おり)が
漂っていた。

36年物を
いきなり開けたのは
やはり間違いだった。

「急がば廻れ」で、
数日間は立てて休ませ
澱を沈めておくべきだった。

なので、
これから数日間は
そうして、もいちど、
クリアな状態を鑑賞する。

アロマには
まだ、いくらか葡萄香がしたが、
熟成してナッツや仄かなスパイス香が
感じられた。

味はまろやかで、
さすがにこれは
年代物でなければ楽しめない
馴れた熟女のようだった(笑)。

***

『刑事コロンボ』の名編
『別れのワイン』には、
「フェレイラ・ヴィンテージ・ポルト1945年」が
事件の解決の鍵に登場する。

試しにググッてみたから、
まだ市場に数本あって、
5.000ユーロなので
現在のレートで
641.385 円である。

ε= (+_+)





カミさんは泡物好きで
週に1、2本は買ってくるので、
コルク籠が一年で
たちまちいっぱいになる。

毎年、それらを
一年の呑み収めと同時に
ザーッと廃棄するが、
むかしはよく
コルクを使ったフォトフレームや
シャンパン針金を使った
椅子なぞをこしらえていた。



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