『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

スマホを忘れて・・・

2023-11-18 08:15:06 | 食物・飲物

きのうは
オフ日だったので、
月に一度のご褒美でもある
「ご自愛ひとり慰労会」を
三ツ星懐石店でやってきた。

京都から帰福して
『花の坊』時代から
30年来、通っている店なので
親方・女将とも馴染みになり、
心安くさせて頂いている。

きのうは、
定席につくも、
リュックの中にスマホを入れ忘れる
という痛恨のエラーに気付き
愕然とした。

親方・女将さんからも
「時々、あるんですよねぇ・・・」
と、同情を頂いた。

仕方なく、
リュック内にあるメモ用紙に
簡単なスケッチをして、
帰宅後に彩色しようと
初めての試みを行ってみた。

これはこれで、
お絵描きが楽しめたので、
文明の利器も
なけりゃぁないで
眼と手でなんとかなるものである(笑)。

***

先付けは
『黄身酒盗』。

自家製の鰹の酒盗と
卵黄を合わせて炒ったようで、
小さな帆立・海老と合わせてあり、
枝豆の翡翠色とクコの実の朱が
目にも鮮やかであった。

八寸は、
海老の五色アラレ揚げ、
鰆の玉素焼き、
イチジク煮、カリフラワー土佐酢煮、
甘梅干しの天婦羅などが
手提げ黒皿に盛られたものだった。

**

つづいて
懐石の華である『椀刺』。

煮物椀は、
牡蠣真蒸に
山芋のすり流し。

もみじ麩と黄柚子が
晩秋の名残りと
初冬の走りを
感じさせた。

葛でややとろみのついた吸地は
はんなりとした出汁加減で
この一碗のみを際立たせないような
美味過ぎない程よさであった。

お造りは
織部の浅い角鉢に
鮪・縞鯵・樽烏賊・鯛が
彩りよく盛られ、
山葵で味わうそれらは
それぞれに魚の個性が際立っていた。

池波 正太郎の流儀に従って、
刺身ごとの合間には
穂紫蘇をちょいと齧って
口直しをするのを忘れなかった。

**

強肴は
『東寺蒸し』。

湯葉を用いたものを
「ア・ラ・トウジ」と言う(笑)。

中には
トロトロの豚の角煮、
生麩・銀杏・ゆり根が
葛餡で熱々に蒸されている。

その味わいは
上品な茶碗蒸しの
更に一段上のような
蒸し物となっていた。

*

二品目は
鱈の白子の天婦羅。

自家製の割りポン酢の酸味が
熱々トロトロの白子を
シュッと引き締めていた。

**

出汁加減のよい味噌汁と
鮭ご飯が運ばれ、
お新香とともに
ホッとするひと時に
辿り着く。

*

主菓子の代わりは、
白玉汁粉。

巴になるように
生クリームが注がれており、
和洋折衷だが
小豆と餅が入ったアイスクリームを
味わっているような味覚もした。

*

茶懐石の〆は
お薄。

この一碗を頂くための
前菜・ご飯・菓子なのである。

茶道の流儀に則り、
お点前頂戴します・・・と、
黙礼し、正面を避けて回し、
感謝の草礼をして喫した。

・・・してみれば、
ご馳走を食べに来た、
というのではなく、
「ひとり茶会」に招かれた
というような錯覚もする。

感謝して
心して食し、
心して茶を喫する・・・
そのような機会を
心労の多いカウンセラーの憩いとして
月に一度、設けているのである。

**

カミさん共々、
鈴木るりかちゃんが
中2でデヴューした頃からの
ファンなので、
その著書を全巻読んできた。

その最新刊を
カミさんが買ってきたので、
さっそく楽しみながら読んだ。

二部構成だったが、
前半は爆笑の連続で、
この子(今は大学2年生)の
ギャグのセンスの秀逸さは
漫画的であり落語的でもあると
毎度のことながら感心した。

一転して、後半は
今日的に言えば
「児童虐待」や「機能不全家庭」を扱った
重々しくも悲しく憐れな物語で、
読書家で早稲田社会学部の学生になった
彼女の作家としての視点や筆致の冴え、
その天賦の才を改めて感じさせられた。

いい意味での
エンターテイナーに成長してきてくれて
これからも将来が楽しみな逸材である。

***

今朝の吾妻は
「赤富士」のように
朝日に映えて、
冠雪と麓の紅葉が
絵のようなコントラストを
見せていた。

ただし、
書斎から眺むる光景は
縦横に張り巡らされた電線で
ズタボロなのが口惜しい。












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