『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

トリックスターの出現

2022-03-13 07:30:00 | ノンジャンル
この冬は
ひときわ寒さが厳しく、
各部屋でストーヴを
頻繁に焚いていた。

石油価格も値上がりし、
そのせいか、カミさんも
浴室のストーヴを
長らくつけたままだと、
「早く入って」
と促される。

一月は
愛孫をケガさせてしまい、
自主謹慎していたので、
書室・茶室に入ることもなく、
ストーヴを炊いての
「書初め」「初釜」も
自粛していた。

その流れで、
つい、昨日まで、
書室、茶室に足を踏み入れず、
ふた部屋とも
何処となく荒涼感が
漂っていた。





ここ数日、
日中は陽射しが温かく、
暖房要らずだったので、
久しぶりに書室で
筆を取った。

去年の暮れまでは、
けっこう、毎日、
臨書をしていたが、
二か月ものブランクがあると、
なんとはなしに運筆が
ぎこちなかった。

そして、
カラダが固まってるせいか、
風邪っけが抜けないせいか、
花粉症の悪化のせいか、
半時も書いていたら、
急に背中が痛みだして
気分がわるくなってしまった。

なので、
そこで中断して、
床に伏せった。

どうも、
春先の体調は
毎年、こんな調子なので、
つくづく、歳をとったなぁ・・・と、
嘆息するようである。







カミさんが卒業式で、
花束を二つ持って帰ったので、
玄関室礼に「花寄せ」にして、
自筆の
『花枝欲動春風寒』
を掛けた。

なんだか、
活動的に動きたいのに
カラダが効かず
もどかしい自分の気持ちをも
現わしているような気がする。








朝刊の新刊案内で
狐狸庵先生の新発見原稿が
冊子化されたのを知って、
すぐさま、Amazonをポチッた。

今日あたり、
届きそうだが、
未読の作品を読めるのを
楽しみにしている。








SC(学校カウンセラー)を
生業としているが、
専門は分析心理学なので、
現今の世界、人類の
深層心理的な布置を
読もうと日夜努めている。

YouTubeで、
久しぶりに
最新の『エハン塾』を
視聴していたら、
「意識の進化」という
キーワードから
このコロナ/ウクライナ問題を
読み解こうとしていて、
心に響くものがあった。

人類は、有史以前から、
今日に至るまで、
二度の大戦以外にも、
何百という「争い事」やら
「紛争」やらで
殺戮を行ってきたか
分からない。

言ってみれば、
人類誕生来、
「恒久平和」という状態は
一度たりとも
実現していないのである。

大戦後に創設された
「国際連盟」やら「国際連合」も
紛争を防ぐシステムには
成り得ていない。

もう、そろそろ、
いい加減に、
「人殺し」から
卒業してもいいのでは・・・と、
思わないでもない。

人間の行動パターンが
すべて投影されている
と言われるのが、
神話の類である。

意識研究家でもある
エハン氏は、
旧約聖書の
アダムとイヴの息子である
カインとアベル兄弟の間ですら、
「殺し」が起こっている事を
指摘しており、
なるほど・・・と、思った。

精神分析学では、
同胞間葛藤のことを
「カイン・コンプレックス」
と言う。

『出エジプト記』では、
「モーゼの十戒」として、
「汝、殺すことなかれ」
と神命が出てくる。

にもかかわらず、
神が創った
夫婦の息子は、
兄が弟を殺すのである。

その救いようのない人間の
処方箋として登場したのが、
新約聖書のイエスであり、
彼は、
「汝の敵をも愛せよ」
というような
途方もない「愛的行為」でのみ
人は救われるのだと説いた。

これを今のウクライナに
当てはめて、出来るかどうか、
まず無理というものだろう。

しかし、
狐狸庵先生は
『私のイエス』で、
「アウシュヴィッツのガス室で
殺された子どもたちが、
もし、あの世でヒトラーと会ったら、
彼を許すのが、愛であり、
それが宗教性であろう」
と言っている。

ロシア侵攻や3.11で
「神も仏もあるものか・・・」
と思った人々は
少なくないだろう。

自分にも、
そう思いたくなる
心境がたしかにある。

しかし、それは、
宗教性からは全く遠い考え方で、
それでも、にもかかわらず、
神や仏を考え続けてゆくことが、
宗教性なのである。

エハン氏の指摘で、
もひとつ感心した事があった。

それは、
「破壊と創造」「死と再生」を
もたらす者としての
トリックスターの存在である。

事によると、
コロナ・ウイルスと
プーチンは、
「デストロイヤー(破壊者)」
「デビリッシュ(苦しめる者)」
という面での
トリックスター的役割として
登場したのではないか・・・
というのである。

それは、なぜ?

個々人に起こる様々な
病苦や不幸事に対して
サイコ・セラピストは
それを「治し」「助かる」
という治療・救済支援の一方で、
「それは、なぜ起こったか?」
という意味を
共に考えるのである。

そして、
深層心理学とも言われる
分析心理学には
「セルフ・アレンジメント」
という用語がある。

意識の中心は
「エゴ(自我)」、
意識と無意識を合わせた
全体の中心は
「セルフ(自己)」
と言う。

その「セルフ」が
「アレンジメント」をした、
というのである。

では、何のために?

そこで、
「自己実現」または
「個性化の過程」のために・・・
となる。

ほんとうの「自分」、
仏教でいう処の
「真我」となるため、
あるいは「仏」となるため。

金光教では、
「生神になる」ため、
と言う。

ヒンドゥー教や
インド哲学的には、
「宇宙の根理」ブラフマンと
「自己の中心」アートマンが、
同一化するためである。

ユングは人類全体に
共通の無意識がある、
ということを
世界中の神話や考古学的研究、
文化人類学的研究で究明し、
それを「集合無意識」あるいは
「普遍的無意識」と名付けた。

個人の心的現実にある
「セルフ・アレンジメント」が
人類規模で起こると、
「コロナ/ロシア」のような
凶事として具現化するのである。

アメリカのトランプ現象やら、
イギリスのEU脱退やら、
格差社会の蔓延やら、
欧米の民主主義も
ガタガタになりつつあり、
AI導入による「人間フラット化」
スマホ中毒も進行しつつある。

それに加えて、
環境汚染、温暖化問題、
忘れた頃にやってくる
「地震・津波・火山・台風」
という超規模化しつつある
自然災害。

どうも・・・
どの面から見ても、
人類は存亡の危機が
「今、ここ」にある現実である。

これは、土俵際、崖っぷちまで
来たのかもしれない。

『サザエさん』のカツオや
『ドラえもん』ののび太が、
始業式直前の
夏休みの終わりになると、
「夏とも」を懸命にやるような
「終末努力」を人類に起こさせるべく、
「コレクティヴ・アンコンシャスネス・
アレンジメント」が
〈コロナ/プーチン〉という
トリックスター(破壊の使者)を遣わした
と考える事ができる。

粘菌のライフサイクルのように、
個々に活動していたアメーバが
寄り集まって一体化し
ひとつの胞子体となるように、
ホモサピエンスという種は
「今、ここで」
根本的な意識改革の進化を
自ら為し遂げて、
物質主義・経済至上原理・
AI支配などから
本気で脱却を目指さないと
もう未来はないのかもしれない。

そして、滅びた後は、
芥川の『蜘蛛の糸』の結末のように・・・

 極楽の蓮の池から
 その浅ましい様をみていたお釈迦様は
 悲しそうな顔で
 立ち去りました・・・

・・・と、なるやもしれぬ。




























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