[6月24日19:45.天候:晴 某県霧生市中心部のとあるレストラン]
難事件であった連続殺人事件を解決し、多額の報酬を手に入れた私だったが、クライアントの好意に甘えたことで、とんでもない事件に巻き込まれた。
どうやら町中で暴動が発生したようなのだ。
だが、その騒ぎの原因が全く分からない上、暴徒達の姿はまともではない。
何だろうか?まるで昔のホラー映画に出て来るアンデットのような……?
そして私と助手の高橋君は、そんな暴徒達に殺されたばかりの店員と、酔い潰れて倒れた客が暴徒と化したものに狙われてしまっている。
「アアア……!」
「ウウウ……!」
「先生、あれ、ゾンビじゃないですか!?」
「はあ!?」
「だって、店員は死んだんでしょう!?」
「そんなこと知らんよ!俺が話し掛けた時は生きてた!」
「アー!」
「ウー!」
「わわわっ!く、来るなーっ!」
私は持っていた消火器を振り回すが、全く当たらない。
「くそっ!先生に触るな!」
このままだと私達も噛み付かれてしまう!
と、その時だった!
「頭伏せて!」
トイレからそんな声がしたと思うと、銃声が店内に響いた。
「うわっ!」
「!」
「アアゥッ!!」
「ウァァッ!」
高橋が『ゾンビ』と称した店員と酔客は、頭にそれぞれ1〜2発の銃弾を受けたはずだ。
普通はそれで死亡する。
……はずなのだが、
「アァア……!」
「ウゥウ……!」
死んでいない!酔客の方は一旦倒れたが、単なる転倒といった感じで、また起き上がってきた。
「先生!こいつら、人間じゃないですよ!」
「あ、ああ……。そうだな……」
トイレから飛び出してきた男は手持ちのハンドガンに銃弾をリロードすると、再び店員と酔客に銃弾を1〜2発ずつ頭に撃ち込んだ。
「アー!」
「ウォォ……!」
今度こそ2人の『ゾンビ』はそれぞれ仰向けやうつ伏せに倒れ、血だまりを作り、2度と起き上がってこなかった。
「大丈夫ですか!?ケガは無いですか!?」
「あ、ええ……だ、大丈夫です!それより、あなたは?」
男は高橋より年上だろうが、年齢は30歳行ってるのかどうか分からない。
黒いジャケットの内ポケットから、焦げ茶色の革製の手帳を出した。
一目で私はそれを警察手帳だと分かった。
ドラマや映画では真っ黒の手帳だが、実際の警察手帳は焦げ茶色である。
そして昔のドラマでは表紙を見せるだけだが、実際は中を開けて二つ折りの身分証を見せている。
最近のドラマでもそうしている。
この男もそうした。
「警視庁江東警察署刑事課の高木巡査長です」
「警視庁?ここは◯×県だから、管轄外でしょう?」
「東京で起きた事件について、捜査中でした。……何の捜査かはお話できませんが」
ま、そりゃそうだろう。
だが、それにしても……。
「捜査中にしても、俺達に銃弾が当たったらどうするんだ?」
高橋が眉間にシワを寄せて詰め寄った。
「それは……」
ドンドンドンッ!
「高橋君、それどころじゃない!このままだと危険だ!取りあえず刑事さん、助けてくれてありがとうございました!」
「1階の出入口は危険でしょう。上の階へ避難した方がいいと思います」
高木巡査長は上に続く階段を指さした。
「そうですね!」
私達は階段を駆け登り、2階へと上がった。
2階の階段を上ると、
「上がって来られないように……」
と、高木巡査長が階段の防火扉を閉めた。
そして、内側からテーブルやらソファやらを置いて、バリケードにする。
「この建物全てが、このレストランの関係するものだそうです」
高木巡査長が言った。
「そうなんですか」
2階はどうやらVIPルームになっているらしかった。
ダーツバーのようになっていて、ダーツがあった。
慌てて逃げ出したのか、ここもだいぶ散らかっている。
だが、暴徒……というか、ゾンビの姿は無かった。
「先生、3階へ続く階段が無いんですが……」
「なに!?」
「それは多分、向こうだ」
高木巡査長が指さしたところには、もう1つドアがあった。
ドアの上には非常口の緑のランプが点灯している。
だが、鍵が開かなかった!
「高橋君!鍵だ!鍵を探さないと!」
「はい!」
私達は2階を探し回った。
「あっ!」
ふと、窓の外から通りを見ると、ゾンビ達がついにドアをブチ破ったのか、店内になだれ込んでくる所が見えた。
2階に上がってこられたらヤバい!
彼らは足なども腐っているのか、早く歩けたりはできないようだが、それでも階段の昇り降りは一応できるようだ。
「やはり、この店は……!」
高木巡査長が苦い顔をしていた。
机の引き出しやら何やら、大麻や覚せい剤が出てきた。
それと、拳銃や銃弾まで。
「銃弾が足りないから、銃弾だけ頂いて行こう」
高木巡査長はハンドガンの弾を手に取った。
拳銃は私も持って行きたかったが、さすがにそれは許可されないだろう。
「先生、代わりにこれを」
高橋が鉄パイプを持ってきた。
「こんなものでも、奴等の頭をボコしてやれば、何とかなると思います」
「そうだな。いいですね、刑事さん?」
「……まあ、非常時ですから。あくまでも、あの狂った暴徒達に襲われたらの抵抗手段にしてください」
「もちろんです」
「それと、鍵がトイレの中にありました」
「おおっ!」
「よく見つけたな?」
「トイレにビルの管理人の死体があって、そいつが持ってました」
と、高橋。
「くそっ、管理人も死んでたか!」
高木巡査長は悔しそうな顔をした。
彼は麻薬とか暴力団関係の捜査でもしていたのだろうか?
「ま、待てよ。こんな状況で死んでたってことは……」
バンッ!(ドアがこじ開けられた音)
「アァア……!」
「やっぱりーっ!?」
作業服を着た管理人のゾンビがやってきた。
しかも、
「先生!」
1階からの階段の防火扉がドンドンと叩かれた。
私達がここにいることがバレてしまったようだ。
「くそっ!」
私は高橋から鍵を受け取ると、すぐに3階へ続く階段の防火扉の鍵を開けようとした。
だが、プロの探偵であるこの私も、手が震えてなかなか鍵が鍵穴に入らない。
「てめぇっ!」
高橋が鉄パイプで管理人ゾンビの頭を殴り付ける。
その間に私は鍵を開けることに成功した。
「やった!開いたぞ!」
私はドアを開けた。
「早く、こっちに!」
階段室に飛び込む私達。
すぐにドアを閉めて、内鍵を閉めた。
「くそっ!ここは地獄か!」
私はドアをドンッと叩いた。
「ええ。霧生市という名の地獄ですよ」
と、高木巡査長。
「1人だけとはいえ、2階にもゾンビがいた。3階は事務所になっているはずですが、油断しない方がいいですね」
「そうですね」
私達は慎重に階段を登った。
もっとも、こちらは3階の更に上、つまり屋上まで続いていた。
そして、3階は逆に階段側がシリンダー鍵になっており、今持っている鍵では開けることができなかった。
「しょうがないので、そのまま屋上まで行きましょう」
「はい」
私達はそのまま階段を上がって、屋上へ向かった。
屋上では、果たして助けを呼ぶことができるのだろうか?
難事件であった連続殺人事件を解決し、多額の報酬を手に入れた私だったが、クライアントの好意に甘えたことで、とんでもない事件に巻き込まれた。
どうやら町中で暴動が発生したようなのだ。
だが、その騒ぎの原因が全く分からない上、暴徒達の姿はまともではない。
何だろうか?まるで昔のホラー映画に出て来るアンデットのような……?
そして私と助手の高橋君は、そんな暴徒達に殺されたばかりの店員と、酔い潰れて倒れた客が暴徒と化したものに狙われてしまっている。
「アアア……!」
「ウウウ……!」
「先生、あれ、ゾンビじゃないですか!?」
「はあ!?」
「だって、店員は死んだんでしょう!?」
「そんなこと知らんよ!俺が話し掛けた時は生きてた!」
「アー!」
「ウー!」
「わわわっ!く、来るなーっ!」
私は持っていた消火器を振り回すが、全く当たらない。
「くそっ!先生に触るな!」
このままだと私達も噛み付かれてしまう!
と、その時だった!
「頭伏せて!」
トイレからそんな声がしたと思うと、銃声が店内に響いた。
「うわっ!」
「!」
「アアゥッ!!」
「ウァァッ!」
高橋が『ゾンビ』と称した店員と酔客は、頭にそれぞれ1〜2発の銃弾を受けたはずだ。
普通はそれで死亡する。
……はずなのだが、
「アァア……!」
「ウゥウ……!」
死んでいない!酔客の方は一旦倒れたが、単なる転倒といった感じで、また起き上がってきた。
「先生!こいつら、人間じゃないですよ!」
「あ、ああ……。そうだな……」
トイレから飛び出してきた男は手持ちのハンドガンに銃弾をリロードすると、再び店員と酔客に銃弾を1〜2発ずつ頭に撃ち込んだ。
「アー!」
「ウォォ……!」
今度こそ2人の『ゾンビ』はそれぞれ仰向けやうつ伏せに倒れ、血だまりを作り、2度と起き上がってこなかった。
「大丈夫ですか!?ケガは無いですか!?」
「あ、ええ……だ、大丈夫です!それより、あなたは?」
男は高橋より年上だろうが、年齢は30歳行ってるのかどうか分からない。
黒いジャケットの内ポケットから、焦げ茶色の革製の手帳を出した。
一目で私はそれを警察手帳だと分かった。
ドラマや映画では真っ黒の手帳だが、実際の警察手帳は焦げ茶色である。
そして昔のドラマでは表紙を見せるだけだが、実際は中を開けて二つ折りの身分証を見せている。
最近のドラマでもそうしている。
この男もそうした。
「警視庁江東警察署刑事課の高木巡査長です」
「警視庁?ここは◯×県だから、管轄外でしょう?」
「東京で起きた事件について、捜査中でした。……何の捜査かはお話できませんが」
ま、そりゃそうだろう。
だが、それにしても……。
「捜査中にしても、俺達に銃弾が当たったらどうするんだ?」
高橋が眉間にシワを寄せて詰め寄った。
「それは……」
ドンドンドンッ!
「高橋君、それどころじゃない!このままだと危険だ!取りあえず刑事さん、助けてくれてありがとうございました!」
「1階の出入口は危険でしょう。上の階へ避難した方がいいと思います」
高木巡査長は上に続く階段を指さした。
「そうですね!」
私達は階段を駆け登り、2階へと上がった。
2階の階段を上ると、
「上がって来られないように……」
と、高木巡査長が階段の防火扉を閉めた。
そして、内側からテーブルやらソファやらを置いて、バリケードにする。
「この建物全てが、このレストランの関係するものだそうです」
高木巡査長が言った。
「そうなんですか」
2階はどうやらVIPルームになっているらしかった。
ダーツバーのようになっていて、ダーツがあった。
慌てて逃げ出したのか、ここもだいぶ散らかっている。
だが、暴徒……というか、ゾンビの姿は無かった。
「先生、3階へ続く階段が無いんですが……」
「なに!?」
「それは多分、向こうだ」
高木巡査長が指さしたところには、もう1つドアがあった。
ドアの上には非常口の緑のランプが点灯している。
だが、鍵が開かなかった!
「高橋君!鍵だ!鍵を探さないと!」
「はい!」
私達は2階を探し回った。
「あっ!」
ふと、窓の外から通りを見ると、ゾンビ達がついにドアをブチ破ったのか、店内になだれ込んでくる所が見えた。
2階に上がってこられたらヤバい!
彼らは足なども腐っているのか、早く歩けたりはできないようだが、それでも階段の昇り降りは一応できるようだ。
「やはり、この店は……!」
高木巡査長が苦い顔をしていた。
机の引き出しやら何やら、大麻や覚せい剤が出てきた。
それと、拳銃や銃弾まで。
「銃弾が足りないから、銃弾だけ頂いて行こう」
高木巡査長はハンドガンの弾を手に取った。
拳銃は私も持って行きたかったが、さすがにそれは許可されないだろう。
「先生、代わりにこれを」
高橋が鉄パイプを持ってきた。
「こんなものでも、奴等の頭をボコしてやれば、何とかなると思います」
「そうだな。いいですね、刑事さん?」
「……まあ、非常時ですから。あくまでも、あの狂った暴徒達に襲われたらの抵抗手段にしてください」
「もちろんです」
「それと、鍵がトイレの中にありました」
「おおっ!」
「よく見つけたな?」
「トイレにビルの管理人の死体があって、そいつが持ってました」
と、高橋。
「くそっ、管理人も死んでたか!」
高木巡査長は悔しそうな顔をした。
彼は麻薬とか暴力団関係の捜査でもしていたのだろうか?
「ま、待てよ。こんな状況で死んでたってことは……」
バンッ!(ドアがこじ開けられた音)
「アァア……!」
「やっぱりーっ!?」
作業服を着た管理人のゾンビがやってきた。
しかも、
「先生!」
1階からの階段の防火扉がドンドンと叩かれた。
私達がここにいることがバレてしまったようだ。
「くそっ!」
私は高橋から鍵を受け取ると、すぐに3階へ続く階段の防火扉の鍵を開けようとした。
だが、プロの探偵であるこの私も、手が震えてなかなか鍵が鍵穴に入らない。
「てめぇっ!」
高橋が鉄パイプで管理人ゾンビの頭を殴り付ける。
その間に私は鍵を開けることに成功した。
「やった!開いたぞ!」
私はドアを開けた。
「早く、こっちに!」
階段室に飛び込む私達。
すぐにドアを閉めて、内鍵を閉めた。
「くそっ!ここは地獄か!」
私はドアをドンッと叩いた。
「ええ。霧生市という名の地獄ですよ」
と、高木巡査長。
「1人だけとはいえ、2階にもゾンビがいた。3階は事務所になっているはずですが、油断しない方がいいですね」
「そうですね」
私達は慎重に階段を登った。
もっとも、こちらは3階の更に上、つまり屋上まで続いていた。
そして、3階は逆に階段側がシリンダー鍵になっており、今持っている鍵では開けることができなかった。
「しょうがないので、そのまま屋上まで行きましょう」
「はい」
私達はそのまま階段を上がって、屋上へ向かった。
屋上では、果たして助けを呼ぶことができるのだろうか?