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雲南の米③

2009-03-08 17:17:51 | Weblog
写真は、雲南の伝統的な炊飯器。詳しくいうと、こしき(こし器)兼おひつ(櫃)。フタが編み笠状なのが、やけに存在感を放つ。

 雲南のガイドブックに見られる「雲南十八怪」という雲南18不思議の第4には「編み笠を鍋蓋にする」が登場するが、中国人旅行者にとっても見慣れない光景らしい。

 底が簀の子状になっているので、中華鍋に水を注ぎ、その上に置いて火をおこせば、数十分でお米が蒸し上がる。
 中華鍋に乗せたまま弱火にすれば保温もできる。
 テーブルに置けばおひつにもなる。
 その便利さゆえ、今なお路上の移動露店から食堂の厨房まで、覗けば、たいてい置いてある。

 この米びつの木材はキワタノキだという(bombox celiba。別名パンヤの木。『雲南十八怪趣談』、雲南科技出版、2002年より)。
 あっという間に10から30メートルの高さになる大木だ。

 沖縄や台湾では街路樹として親しまれ、インドでは樹上に実る綿がクッション材に使われているらしい。

 雲南を歩くと竹製のかごとこのおひつに、よくお目にかかるが、日用品の材料はすぐに育ち上がる木が使われていることがわかる。

以下は、前回の続き。終章です。
【米の輸出大国&輸入大国】
 中国では米輸送ルートは非常に複雑です。地産地消は全国的にみても珍しく、米線でも主原料のインディカ米ですら雲南産100%にはなりえず、湖南、湖北を中心にした他省に頼らざるをえない状況。(雲南省の穀物生産量は中国第11位。ハニ族による雲南省元陽県の棚田は世界最大級の面積なのですが。)

 では中国の米の状況はどうなっているのかというと、米の生産の約8割がインディカ米で、中国全土を合わせた米の生産量は世界1位(1億8545万トン。籾米ベース。)の量を誇ります。2位のインドと合わせると世界の半分以上を占めるという米の生産大国となっているのです。一見すると米については自給自足ができて何も心配いらなさそうですね。

 ところが米は輸入量でも今や世界第2位(184万7千トン。1位はナイジェリア。国連食糧農業機関(FAO、2004年)統計より)でもあるのです。人口はたいして減らないのに、都市部が増大して耕地面積が減少していることや、人気沸騰のおいしいジャポニカ米の生産適地が中国東北部だけ、という現状も響いているとのこと。

 つまり米線などの米加工品は雲南、湖北、湖南などのもので、炊く方の米は雲南、タイなどのほか、黒竜江省などの東北部から、となっているわけです。

 中国では日本製品が大人気ですが、日本の米に対する憧れも強烈です。現在は値段の高さが難点ですが、やがて日本の重要輸出品になる日がくるかもしれません。(日本の農業政策、もうちょっとなんとかしてくれないかなあ?)

 この章おわり。
コメント
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