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雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

雲南の誇り・ヤン・リーピン③

2010-01-24 20:07:24 | Weblog
写真はシャングリラもあるディーチン州のマニ石。チベット語でチベット仏教の経典が刻まれている。平安の祈りをこめて村の入り口や神山のビュースポットでよく見られる。それほどまでに大事な石なのに、どうやら道路工事に負けつつあるようだ。
 ところで『雲南映像』「シャングリラ」の章は、重たいマニ石を抱えて舞台中央に置く、チベット族の古老の動作から幕が開く。

【雲南の一大産業へ】
「今、ひん死の民間芸術を発掘して救い出し、お客様に観ていただいて、後の世の記憶に留める。まさに生きた民俗文化博物館なのです」との思いでヤン・リーピンは『雲南映像』を紡ぎ出した。
 だから舞台上の服装、小道具、牛の頭、マニ石、経筒などは、全部、本物。以前にも書いたが「雲南映像」の出演者の70%は本物の少数民族の農民出身だ。

 なかにチベット族の子供の独唱があった。

「シャングリラ(チベット族自治区の中心都市)の貧しい子を昆明に連れてきて歌わせ、故郷に帰すと家が建つ。この舞台は300人以上の就業問題を解決している」(『都市時報』2009年5月7日)と地元新聞は経済効果を取り上げている。

 雲南の旅行、タクシー業界も潤った。タクシーの運転手は予約を入れるとマージンがもらえるし、ホテルからの送迎もできる。旅行業界はいわずもがな。雲南の知名度もアップした。

 2004年『フォーブス』中国語版で、ヤン・リーピンは、812万元(約1億2000万円)の収入があるということで、中国で活躍する名士の52位にランクイン。(ヤン・リーピンは収入について「全くのでたらめ。自分自身、どれくらいお金が入ってくるのか知らないし、歌舞団の手当に消えているだろう」と語っている。)

 同年秋、映画『単騎、千里を走る』を監督するため、雲南の麗江を訪れたチャン・イーモウ監督(注1)は、主演の高倉健(注2)がクリスマス休暇で帰国している間に『雲南映像』の目玉の一つである「シガレット・ケースの踊り」を撮影した。農民出身の若者10人ほどが横一列に並んで、歌い踊る土着性たっぷりの踊りだ。

 昆明にほど近い石林(2007年に世界自然遺産登録された)に早朝、マイクロバスで乗り付け、照りつける太陽と紫外線の中、紅い大地を裸足で踏みしめること一日。こうして華やかな民族衣装で歌い踊る「青島ビール」のコマーシャルは、全国に流された。力強く、健康的な映像だった。

 その撮影時に、改めて雲南のマスコミが目を見張ったことがある。それは撮影の合間に、世界的監督と対等に語らうヤン・リーピンの堂々たる姿だった。        (つづく)

注1.張芸某:『紅いコーリャン』などの映画で世界的な賞を総なめする世界的監督。北京オリンピックの開会式や昨年、天安門広場で開かれた建国60周年パレードの演出も行いました。
注2.高倉健:ご存じの方も多いでしょうが、中国では高倉健は数十年前からたいへんな人気なのです)

*またもや長くてすみません。いろいろとヤン・リーピンの周囲も変動しているようです。次回をお待ちください。

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