写真はリューベックの中心にある市庁舎。レンガがにび色に光っているのだが、これはかつて、牛の血と塩を塗ったこの地方独特の色彩なのだそう。1159年に建てられた、ドイツ最古のゴシック建築とされている。その後のハンザ同盟都市の市庁舎のモデルともなっているらしい。
写真上は風が通り抜けられるように独特の穴が開いた市庁舎の破風。なんとも威厳がありつつも、おかしのようにかわいらしさが同居した不思議なつくり。
【旅行ガイドにはない、巨大な博物館】
リューベックに行ったのは、かつてのハンザ同盟都市の中でも盟主でハンザ同盟の集まりでは一番中央のいい席に座っているほどの都市だったため。ちなみに第2はハンブルグ、第3,4あたりにブレーメンがきます。
まだ、日本のガイドブックには載っていないのですが、「欧州ハンザ博物館」という巨大な施設があり、あきらかにハンザ同盟の街としての町おこしに力を入れていたからです。
この博物館は、たとえば様々な船や実際の交易品などという、当時、実際にあった、もしくは使われていたようなモノはほとんどないのですが、再現映像やレプリカ(立体の模型)などが果てしなく充実。開館と同時に入って5時間ぐらいそこにいても見切った感じがしないほどでした。
たとえば、各所に設けられたQRコードの読み取り機に自分の入場券をかざすと、テーマ別の解説の文字が事細かに表示される仕組みになっていて、一つ一つ丁寧にみたら、博士論文10本分以上を読み切ったと思えるほど、文字情報が充実しています。
残念ながら日本語の解説はないのですが、たとえばロシア語の文献や論考までも英語に訳されて解説されているので、なかなか意義深い博物館となっていました。
この地は塩の産地のリューネブルクから運んだ塩を、当地では水揚げされたニシンなどの魚の塩漬けに使い、さらにそれら加工品や塩そのものをデンマークを始め、ノルウェーを初めとしたスカンジナビア半島、さらにはロシアのノブゴルトまで、海を通じてさかんに交易を行っていたことがわかります。現在でもデンマークまで鉄道がつながっている、ドイツの窓のような町なのでした。
(つづく)
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