カディスからアルヘシラスへとのびる幹線道路にて。湿地帯、丸刈りの松のような林の続く樹林帯、牧草地(白牛、赤牛が放牧されている)と風景が目まぐるしく変わっていく。ショッピングセンターやドライブインなどにも細かく立ち寄り、客を拾う公共バス。やがて風が強くなり風力発電12基やカウボーイや牛の看板が見えるころ、アルヘシラスに到着した。
【西部劇の舞台のよう】
狂乱のカーニバルと思いきや、意外や地元密着型のおだやかさだった大西洋側のカディスからイベリア半島の地中海側に立地するアルヘシラスへ。10時15分にカディス駅をたったバスは順調に2時間で到着しました。
地図で見ると半島の下の部分をほんのちょっと、たった80キロ移動しただけなのに湿気のあったカディスとはうって変って、西部劇の舞台かと思うような乾燥した草原と赤い砂ぼこりの世界です。そこには同じような茶塗りの公営住宅が立ち並び、表情の薄い人々が熱い陽射しの中、買い物などに出かけているのみ。すれ違う人はなんとなく擦れていて、治安が悪い予感。潤いのある街とは少しちがうようです。
ホテルも、場末感漂う船員の宿らしく、さっぱりとはしているけど、それ以上でもそれ以下でもない感じ。
ときおりけたたましく笑うお掃除のおばさん以外、動く人もないホテル。3月初旬だというのに日差しが強いせいか、暑いようにも感じます。カディスから70キロほどしか移動していないのに、この違いはなんなのでしょう。
ここに来た理由はこの街の観光ではなく、歴史の要として存在し続けるジブラルタルとアフリカ大陸上陸を果たそうという野望のためでした。
ジブラルタルへは湾の反対側なのでバス1本ですぐにいけるし、アフリカ大陸に行く船はここから出る。イベリア半島が南に突き出したところとアフリカ大陸がク゚っと鎌首をもたげたところ、つまり二つの大陸が大西洋側でもっとも近接している場所がアルヘシラスなのです。
ただたった2泊、しかも他都市との移動時間も含めてのなかでこのもくろみが果たせるのかは、不安なところでした。
ホテルにチェックイン後、さっそく明日のアフリカ大陸へのチケットを求めてフェリー乗り場へ。完全にグロッキーになっている家人を起こさぬようにそっと部屋を出ます。
フェリー乗り場からアルヘシラスの街並みをのぞむ(早朝)。
強烈な日差しの中、歩く人もまばらな通りは、とてもスペイン第2の港湾都市とはとても思えない静けさです。シエスタ時間のせいかと不安に思ってたどり着くと、『地球の歩き方』に書いてある通り、10社ほどの旅行会社のブースがずらりと並んでいました。私をみるや、目が覚めたようにさかんに呼び込みをかけてきます。まるでイソギンチャクがおいでおいでをしているようなにぎやかさです。
アルヘシラスのフェリー乗り場に並ぶ旅行会社のブース。
この写真は早朝の光景だが、日中の呼び込みはなかなか
のものだった。
そんななかで、まるで呼び込みをせず、しずかーに目を伏せているブースがありました。ガツガツしない姿勢に信頼を感じ、そこにタンジェ行きのツアーと船を申し込みました。値段交渉もないまま、静かにチケットを切って、明日の集合時刻などの紙などとお金を引き替えて終了。上品なのか、仕事に不熱心なのかは明日のお楽しみ。ともかく、これで明日、アフリカ大陸にいけるはず。
(つづく)
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