写真はアルハンブラ宮殿の壁面。白大理石に彫り込まれた彫刻の細やかさと美しさに圧倒された。
【美しさ、の代償】
グラナダの目玉はなんといってもアルハンブラ宮殿です。外観は少しの装飾をのぞけばのっぺりとした土の壁ですが、中に入ると、彫りこんだ凸凹装飾の美しさに心を奪われてボー。人混みに押される感じで進んでいると、「ライオンの中庭」で日本人の小集団に解説する日本語が聞こえてきました。
「12頭の白大理石で作られたライオンの背に乗る12角形の水盤。端正でしょう? ここでくり広げられた血なまぐさい歴史をお話ししますと・・」
白髪にジーンズ姿の初老の日本人男性ガイドの話はおもしろく、久々に聞く日本語解説に聞きほれました。(ただ聞きはご迷惑だったことでしょう。ご勘弁を。)
それから、庭を中心にした回廊や部屋の空いている場所でしゃがんでみました。すると景色が目にピタッとはまり迫ってくるのです。細やかなイスラム装飾は壁面と天井にとくに力が注がれていて、それらはちょうど絨毯に座った位置にぴったりセットされていたのです。
我が発見に感動して、ふと写真を撮ろうと手を伸ばすと、ポケットに挿していたスマホがありません! あわてて、経路をたどりなおしたものの見つからず。
出口のお土産コーナーでたたずむと聞き覚えのある物悲しいギターの音色が心に沁みてきます。今の気分にぴったりです。それがギターの名曲「アルハンブラの思い出」だったと、あとで知りました。
一つの王朝が終焉を迎えた悲しい場所。その象徴の曲が個人的な悲劇の思い出の曲ともなってしまいました。
我に返って、アルハンブラ宮殿のインフォメーションセンターにスマホの落とし物届をだしました。そして、こちらの連絡先を伝え(家人の電話番号やメールアドレス)帰りました。
帰った先もアルハンブラ宮殿。パラドールとして一角を開放していたのです。スペインでもっとも高い宿泊費でしたが、これはよかった!
アルハンブラ宮殿の早朝。雨上がりの空気がすがすがしい。
いつも混んでいるこの宮殿に泊まると夕方から早朝にかけて、
ゆっくりと宮殿の空気を堪能できる。
見学時間が終了すると訪れる静寂。夕暮れのアルハンブラ宮殿は宿泊者と従業員だけの世界。鳥の羽の音まで聞こえてきます。山の端から夕日が真っ赤に輝いてそれがアルハンブラ宮殿を赤く染めあげました。ちょうど雨上がりで空気も澄んでいて絶景。「アルハンブラ」がアラビア語で「赤い城」を意味することを実感したのでした。
その夜、テレビをつけると、バルセロナをのぞくスペイン全土が久々の雨に大はしゃぎしていました。各局が中継していたのです。この時期の雨は相当、珍しかったのでしょう。
しかし私も相当、疲れているみたい。セルフでお灸をして休もう。
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