写真はピカソ、ダリ、ミロほか20世紀の現代アートを展示するソフィア王妃芸術センター。1992年開館。グンニャリと溶けかけた時計などが有名なダリの不思議な絵世界は、スペインにもともとダリ的絵画の伝統があって、その厚みの最高峰に立った絵だったのだと知る。
画面構成が緻密に計算された世界。その視点で見ると、ピカソもミロも数学的画面構成だ。
他、現代絵画のコーナーに日本の画家の絵を飾るなど、新しい絵画の創造に貢献を続けていた。
【画家を育てる土壌】
(当ブログが気づくとふしぎな街・マドリードになりつつあったので、ここで王道のお話です。)
ピカソの渾身の大作「ゲルニカ」を展示しているソフィア王妃芸術センターなど世界に名をとどろかせる絵画がたっぷりとあるマドリード。
なかでもゴヤ、ベラスケス、ルーベンス、レンブラントといった画家の大画面の絵が惜しげもなく飾られているプラド美術館は、ゆけどもゆけども絵、しかも教科書トップ級ばかり。
戦争で略奪した、とか、死後に画商から買い取ったというのではなく、宮廷画家として雇い入れた画家の作品が中心なので、運ぶ必要がなかったせいなのか、とにかく一つ一つの絵が大きい。とくにベラスケス。これほどの量の彼の作品がいっときに日本にくることはないだろうと思ったので、じっくりと鑑賞しました。
若い女性の肌の質感、描く対象の性格までわかるような筆致。彼らを雇う国王一家が、たとえ自分が美しく描かれなくても、美術の価値に重きをおいて(つまり己の審美眼を信じて)雇い入れているに違いない、と思わせる絵の数々。美しいレースに縁どられた衣装を身に付けツンとすましたお嬢さん。ひ弱そうな国王。この腹の座り方に脱帽です。
国王一家は動物好きなのか、まわりに描かれた犬や馬といった動物の表情が生き生きとしています。これらは図録を買っても、小さくなっちゃうな、と残念に思っていたところ、この美術館は目の前の本物に対峙しての模写を許可していました。
なんと有名画の横に、のちに有名になった画家たちの模写が飾られている贅沢さ。ピカソがベラスケスの「ラス・メニーナス」を模写した作品もありました。
ともかく世界的画家は一日にしてならず。世界的美術館での模写ってかっこいいなあ。
(調べるとルーブル美術館も模写を許可しているようです。19世紀ヨーロッパ美術界の伝統がかかわっているとか。奥深い。)
(つづく)
※娘が日本の大学で発行してもらった国際学生証はスペインで大活躍しました。プラド美術館もソフィア王妃芸術センターも提示すると10ユーロかかるところが無料に。学生なら国際学生証はお勧めです。コロナが収束したら、ぜひ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます