(注)三大国際石油企業業績シリーズI, II, III, IVは「マイ・リブラリー」で一括ご覧いただけます。
II.Shellの業績(上)
(注)詳細は下記同社HP参照。 http://www.shell.com/home/content/media/news_and_library/press_releases/2010/q4_2009_results_newsitem_04022010.html
1.2009年の売上・利益・投資及び生産量
(1)売上高
Shellの2009年1-12月の売上高は278,188百万ドルであり、前年度の売上458,361百万ドルに比べ39%減という大幅な落ち込みであった。売上高減少の主な理由はExxonMobilと同様(シリーズI参照)石油価格の下落にある。
(2)利益
利益は12,158百万ドルであった。これは前年度(26,277百万ドル)の1/2以下であり、売上の落ち込み以上の悪い結果となった。利益の内訳を上流部門(原油生産)と下流部門(石油精製販売)に分けて比較すると、上流部門の利益は8,354百万ドル、下流部門2,972百万ドル、その他1,192百万ドルであり、上流部門が全体の2/3を占めている。上流部門の利益が3/4を占めるExxonMobilほどではないが、Shellの利益の源泉も上流部門にある。
(3)設備投資
2009年度の設備投資総額は27,594百万ドルであり、同社は利益額の2倍以上の積極的な投資を行っている。投資を上流部門、下流部門、化学部門およびその他に分けると、上流部門には全体の3/4を占める21,275百万ドルが配分されている。下流部門は4,058百万ドル(全体の15%) 、化学部門1,988百万ドル(同7%)、その他部門273百万ドル(同1%)であった。
(4)石油・天然ガスの生産量
2009年の生産量は石油が一日当たり平均168万バレル(以下B/D)であり、天然ガスは日産86億立法フィート(以下億cfd)である。天然ガスを石油に換算し石油と合計した場合は315万B/Dに達する。ShellではこのほかLNGを1,340万トン(年間)販売している。
石油生産量を地域別にみると(上図参照。拡大図はhttp://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-4-93cShell.gif)、最も多いのは中東の361千B/Dであり、続いて欧州が317千B/D、米国273千B/D、アフリカ272千B/D、アジア・大洋州197千B/Dである。なおロシアで107千B/Dの原油を生産している。Shellの原油生産は世界に万遍なく拡がっていることがわかる。一方天然ガスについては欧州が35億cfdと最も多く、これに次ぐのがアジア・大洋州(27億cfd)であり、この両地域で全生産量の72%を占めている。
(続く)
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