(注)三大国際石油企業業績シリーズI, II, III, IVは「マイ・リブラリー」で一括ご覧いただけます。
IV.三大国際石油企業の業績比較(上)
シリーズI、II、IIIでExxonMobil、Shell及びBP(いわゆるスーパーメジャー)各社の業績を概観したが、シリーズIVはこれら3社を横並びで比較してみた。(業績比較一覧表はhttp://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/1-D-4-93FinancialStatementsExxonMobilShellBP.xps参照)
1.2009年の売上・利益・設備投資の比較
(図http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-4-93gSupeMajorSales2009.gif参照)
(1)売上高
売上高が最も大きいのはExxonMobilの3,106億ドルであり、次いでシェルが2,782億ドル、最も少ないのはBPの2,393億ドルである。BPの売上はExxonMobilの8割弱である。
(2)利益
利益が最も多いのもExxonMobilであり、同社の2009年1-12月の利益は193億ドルであった。これに次ぐのがBPの166億ドルであり、BPは売上規模ではShellに及ばないが利益はShellの125億ドルを上回っている。BPの利益はExxonMobilの9割弱、ShellのそれはExxonMobilの6割強にとどまっている。
この結果、売上高と利益の比率(売上高利益率)ではBP 6.9%、ExxonMobil 6.2%、Shell 4.5%とBPが最も高い。
(3)設備投資
3社の設備投資額はShellが276億ドルと最も多く、次いでExxonMobilが271億ドル、BPは203億ドルで最も少ない。なお3社とも当期利益額を上回る設備投資を行っているが、特にShellは利益(125億ドル)の2倍を上回る額である。
2. 2009年の石油・天然ガス生産量の比較
(1) 石油
3社の中で2009年度の石油生産量が最も多かったのはBPで平均日産量は2,535千B/Dであった。エクソンモービルはBPより約15万B/D少ない2,387千B/Dであり、シェルは3社の中で最も少ない1,678千B/D(BPの2/3)にとどまっている。同社は石油生産部門が他の2社に比べてかなり劣っていると言える。同社の決算資料にはLNGの販売量として1,340万トン(年間)が示されており、このためShellの売上はBPを上回る結果(上記参照)となっているようである。(BP、ExxonMobilもLNGを取り扱っていると考えられるが、具体的な数値がホームページの決算概要に示されていないのでLNGに関して3社を比較することはできない。)
(2) 天然ガス
天然ガスの生産量は3社ともほぼ同じであり、エクソンモービルは93億立法フィート(以下cft)、Shell 86億cft、BP 85億cftであった。
(3) 石油・天然ガスの合計生産量
(上図参照。拡大図はhttp://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-4-93hSupeMajorProductio.gif)
上記(2)の天然ガス生産量を石油に換算し、(1)の石油と合計した生産量で比較すると、合計生産量が最も多いのはBPの3,998千B/Dであり、エクソンモービルはBPよりわずかに少ない3,932千B/Dである。これに対しShellの合計生産量は3,152千B/Dと他の2社に対して見劣りがする。
因みにBP統計(BP Statistical Review of World Energy 2009)による国別の生産量(表「石油・天然ガスの合計生産量上位20カ国」参照)とこれら3社を比較すると、BP、ExxonMobilは世界第9位のUAE(合計生産量3,846千B/D)よりも多く、Shellは世界11位のベネズエラ(同3,109B/D)よりも少し多いレベルである。
(続く)
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