(注)本シリーズは「マイ・ライブラリー」(前田高行論稿集)で一括ご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/ExxonShellBp.html
II.Shellの業績(上)
(注)詳細は下記同社HP参照。
http://www.shell.com/home/content/media/news_and_media_releases/2011/q4_2010_results_newsitem_03022011.html
1.2010年の売上・利益・投資及び生産量
(1)売上高
Shellの2010年1-12月の売上高は368,056百万ドルであり、前年度の売上278,188百万ドルに比べ32%の増収であった。これはExxonMobilと同様(シリーズI参照)、2009年が対前年比で大幅に落ち込んだことに対する反動である。後述するように2010年の売上は2008年の458,361百万ドルには及ばないものの、2007年(355,782百万ドル)を上回る水準に回復した。
(2)利益(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93dShell.pdf参照)
利益は20,127百万ドル(円換算約1.6兆円)であった。これはExxonMobil(30,460百万ドル)には及ばないものの、前年度(12,518百万ドル)の1.6倍増で、その増益率はExxonMobil と同じである。
利益の内訳を上流部門(原油生産)と下流部門(石油精製販売)に分け、さらに上流部門を米国内と米国外に分けて比較すると、最も利益が多かったのは米国外の上流部門であり、全体の利益の68%(12,489百万ドル)を稼ぎ出している。これに対し米国内の上流部門の利益額は全体の11%、1,953百万ドルであった。これらを合計すると上流部門が同社利益の8割弱を占めている。これに対し下流部門は全体の利益の21%、3,873百万ドルであった。Shellが利益の大半を上流部門に依存していることはExxonMobilと同じであるが、Shellの場合は米国外の上流部門の比率が高い。
(3)設備投資
2010年度の設備投資総額は26,940百万ドルであり、その額は利益額の1.3倍強に達する。投資を上流部門、下流部門およびその他部門に分けると、上流部門には全体の83%を占める22,323百万ドルが配分されている。下流部門は4,523百万ドル(全体の17%)である。
(4)石油・天然ガスの生産量
2010年の生産量は石油が一日当たり平均171万バレル(以下B/D)であり、天然ガスは日産93億立法フィート(以下億cfd)であった。天然ガスを石油に換算し石油と合計した場合は331万B/Dに達する。ShellではこのほかLNGを1,676万トン(年間)販売している。
石油生産量を地域別にみると、最も多いのは中東・北アフリカの366千B/D(全体の21%)であり、次いでアフリカ(ナイジェリアを含むサブサハラ)346千B/D(同20%)、欧州285千B/D(同17%)、米国237千B/D(同14%)である。ExxonMobilの場合はアフリカとアジア大洋州で全生産量の過半を占めているのに対し、Shellの原油生産は世界に万遍なく拡がっている。
一方天然ガスについては欧州が38億cfdと全体の4割に達する。これに次ぐのがアジア・大洋州(25億cfd)であり、この両地域で全生産量の7割弱を占めている。
(続く)
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