石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:石油篇9 消費量(2)

2014-07-03 | その他

 

(注)本レポート1~18回は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

 

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0318BpOil2014.pdf

 

 

3.世界の石油消費量(続き)
(石油を爆食する米国と中国、両国だけで世界の石油の3分の1を消費!)
(1) 国別消費量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-3-T01.pdf 参照)
 国別に見ると世界最大の石油消費国は米国で、2013年の消費量は1,889万B/D、世界全体の20%を占めている。第二位は中国の1,076万B/D(シェア12.1%)である。前年の中国のシェアは11.4%であり、毎年その比率は上昇している。米国と中国を合わせたシェアは32%であり両国だけで世界の3分の1の石油を爆食していることになる。

  3位の日本の消費量は455万B/Dで前年より3.8%減少している。消費量の多い上位10カ国の中で前年より減少したのは日本の他は第9位のカナダ(0.5%減)の2カ国だけであり、日本の減少幅が突出して高い。日本の消費量は米国の4分の1、中国の4割強である。4位以下はインド(373万B/D)、ロシア(331万B/D)、サウジアラビア(308万B/D)、ブラジル(297万B/D)と続いている。石油は米、日の先進2カ国及びBRICsと呼ばれる中国、インド、ロシア、ブラジルの新興4カ国に大産油国でもあるサウジアラビアを加えた7カ国で世界の半分を消費している。この他ベストテンに入っているのは第8位韓国(246万B/D)、第9位カナダ(239万B/D)、第10位ドイツ(238万B/D)である。

 2012年と比較すると、国別順位全く変わっていない。但し対前年消費量の増減を各国ごとに見ると上述のとおり日本とカナダ2カ国のみが減少し、他の8カ国は増加している。増加率が最も高いのはブラジル(+5.8%)であり、中国、ロシア及びサウジアラビアが3%台の増加率となっている。米国は2.0%増加、ドイツは0.9%増であった。

 国別消費量を前章の国別生産量(第2章(2))と比較すると興味ある事実が浮かび上がる。米国と中国は消費量世界一位と二位であるが、生産量についても米国は世界3位、中国は世界4位である。両国は石油の消費大国であると同時に生産大国でもある。そしてサウジアラビア及びロシアは言うまでもなく世界一、二位の石油生産量を誇っている。その他消費量9位のカナダは生産量世界5位であり、消費量7位のブラジルも生産量世界13位である。このように石油消費量上位10カ国のうち6カ国は石油の生産量も多い国々であるが、消費量ベストテンに入っていても生産量が皆無もしくは非常に少ない国は日本、インド、韓国及びドイツの4カ国である。このように石油を大量に消費する国といえどもその状況は各国によって大きく異なる。従って「消費国」と言うだけで結束して産油国(例えばOPECなど)に対峙することは容易ではないのである。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp


 

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