石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:天然ガス篇1 埋蔵量(1)

2014-07-22 | その他

BPが毎年恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2014」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量、貿易量のデータを抜粋して解説したものである。

1.世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数
(世界の天然ガスの4分の3は中東と欧州・ユーラシアに。世界の可採年数は55年!)

(1)2013年末の確認埋蔵量
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-1-G01.pdf参照)
 2013年末の世界の天然ガスの確認可採埋蔵量(以下単に「埋蔵量」と言う)は185兆立方メートル(以下tcm: trillion cubic meter)であり、可採年数(R/P)は55年である。

 埋蔵量を地域別に見ると中東が43%、欧州・ユーラシアが31%であり、この2地域だけで世界の埋蔵量の4分の3を占めている。これら2地域に次ぐのはアジア・大洋州とアフリカがそれぞれ8%、北米6%、中南米4%でこれらすべて合わせても全体の26%にとどまる。このように世界の天然ガスの埋蔵量は一部地域に偏在していると言える。

 埋蔵量を生産量(次章参照)で割った数値が可採年数(R/P)であるが、2013年の天然ガスのR/Pは55年である。これを地域別で見ると中東地域の100年以上に対して北米はわずか13年にすぎない。アフリカ地域のR/Pは70年で全世界の平均を上回っており、その他欧州・ユーラシアは世界平均よりやや低い54年である。中南米は44年、アジア・大洋州は31年で世界平均を下回っている。

(国別埋蔵量ではイランとロシアがトップ!)
(2)国別の埋蔵量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-1-T01.pdf参照)
 2013年末の国別埋蔵量を見ると、イランが最も多い34tcmであり、第2位はロシアの31tcmである。この2カ国が世界の中で飛びぬけて多く、両国を合わせると世界の35%を占める。この2カ国に続くのが第三位カタール(25tcm、シェア13%)、第四位トルクメニスタン(18tcm、9%)であり、これら4カ国だけで世界の埋蔵量の6割弱を占めている。5位以下10位までは米国(世界シェア5.0%)、サウジアラビア(4.4%)、UAE(3.3%)、ベネズエラ(3.0%)、ナイジェリア(2.7%)、アルジェリア(2.4%)と続いており、上位10カ国の世界シェア合計は79%に達する。

 因みに天然ガス生産国の一部はガス輸出国フォーラム(GECF)を結成している。GECFは2001年に結成され、現在は正式メンバーがロシア、イラン、カタール、アルジェリアなど12カ国及びオブザーバーがノルウェーなど3カ国の合計15カ国で構成されている。GECF自体は加盟国相互間で世界の天然ガス市場の需給・価格情報を共有することが目的であり、OPEC(石油輸出国機構)のような生産カルテルではない。しかし消費国の一部にはGECFを「天然ガスのOPEC版」と警戒する向きもあり、今後の動向が注目されている 。

(*)ガス輸出国フォーラム(GECF)メンバー
正式加盟国(12ヶ国):ロシア、イラン、カタール、ベネズエラ、ナイジェリア、アルジェリア、エジプト、リビア、オマーン、トリニダード・トバゴ、ボリビア、エクアトール・ギニア
オブザーバー参加国(3カ国):ノルウェー、カザフスタン、オランダ
 
(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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