(注)本レポート1~18回は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0318BpOil2014.pdf
5.世界の石油精製能力(続き)
(日本を追い越したインドの精製能力!)
(2) 国別石油精製能力
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-5-T01.pdf 参照)
世界で最も高い精製能力を有する国は米国で、2013年は1,782万B/D、世界全体の19%の設備を所有している。第二位は中国の1,260万B/D(シェア13%)であり、両国だけで世界の3分の1の精製能力がある。精製能力1千万B/D以上はこの2カ国だけであり、第3位のロシアは603万B/Dである。
昨年わずかな差で日本を追い抜いたインドは今年432万B/Dであり、日本(412万B/D)との差を広げている。石油消費量では日本が455万B/D、インドは373万B/Dで未だ日本が上回っているが(本稿「石油消費」の国別消費量参照)、精製能力では既にインドが日本を上回っている。日本では経済産業省の主導で精製設備の集約が推し進められる一方、インドは慢性的な精製設備不足に悩まされており(次項「精製能力の推移」及び主要国の「製油所稼働率」参照)、両国の精製能力の格差は今後ますます広がるものと思われる。
日本に次いで高い精製能力を有するのは韓国(289万B/D)で、さらに第7位以下10位まではサウジアラビア(252万B/D)、ブラジル(209万B/D)、イタリア(206万B/D)、ドイツ(206万B/D)であり11位のイラン以下は処理能力が200万B/D未満である。サウジアラビアは原油生産国であるが国内に数ヶ所の輸出専用製油所が稼働しており、石油製品の輸出により付加価値の増大を追求しているが、それと共に国内の石油製品の需要が急増しているため製油所の新設が相次いでいる。
精製能力を前年と比較すると上位10カ国の内、マイナス成長即ち精製能力を削減しているのは日本、イタリア及びドイツの3カ国であり、それぞれの減少幅は日本-3.1%、イタリア-6.3%、ドイツ-1.7%である。これに対して中国の精製能力は前年比+5.6%であり、ロシア(+4.2%)、ブラジル(+4.6%)も精製能力を増強している。なかでもサウジアラビアは前年比18.9%の大幅な増強である。日、独、伊の先進消費国が設備削減を行う一方、BRICs各国が設備の新増設を行っていることは象徴的である。なお米国、韓国は前年と変わりなく、インドは前年比+0.9%の微増である。
(続く)
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