石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ニュースピックアップ:世界のメディアから(7月10日)

2014-07-10 | 今日のニュース

・サウジアラビア、6月の原油生産量978万B/D、5月の970.5万BDを上回る

・米国、4年続くシェール革命で2020年の生産量は現在の2倍弱、ロシア、サウジを追い抜き世界一に。 *

 

*世界の石油生産に関する「BPエネルギー統計レポート」(連載中)参照。

http://blog.goo.ne.jp/maedatakayuki_1943/e/83c845003c1a9d69e4bfacb648519521

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:石油篇13 原油価格

2014-07-10 | その他

(注)本レポート1~18回は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0318BpOil2014.pdf

 

(国際指標原油としての意義を失いつつある最近のWTI価格、米政府の輸出解禁で変わるか?)
4.指標3原油の年間平均価格と1976~2013年の価格推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-4-G01.pdf参照)
 ここでは国際的な原油価格の指標として使われる米国WTI(West Texas Intermediate)原油、英国北海Brent原油及びドバイ原油の3種類の原油の年間平均価格(ドル/バレル)とその推移を検証する。
 
 2013年の3原油の年間平均価格はBrent原油108.66ドル(バレル当たり。以下同様)、WTI原油97.99ドル、ドバイ原油105.47ドルでありBrent価格を100とした場合ドバイ原油は97、WTI原油は90であり、WTIはBrentより1割程度安価であった。

 これら3原油の1976年以降の価格の推移は2010年頃までほぼ同じような歩みを示している。Brent原油で見ると、1976年の同原油の年間平均価格は12.80ドルであった。1979年の第二次オイルショックを契機に価格は急騰、1980年には約3倍の36.83ドルに達した。その後景気の低迷により1980年代の価格は一転して急落、1986年には14.43ドルと第二次オイルショック前の状況に逆戻りしている。

 この状況は1990年代も続きBrentの年間平均価格は20ドル前後で推移している。ところが1998年の12.72ドルを底に急激に上昇に転じ1999年は17.97ドル、2000年には28.50ドルとわずか2年で2倍以上に急上昇した。その後一旦下落したものの2003年からは上げ足を速め2004年には40ドル弱、2005年に50ドルの大台を超えるとさらに急騰、2008年の年央にはついに史上最高の147ドルに達し、同年の平均価格も100ドル目前の97.26ドルを記録している。

 同年のリーマンショックで2009年には61.67ドルまで急落したが、再び上昇気流に乗り2011年の年間平均価格はついに111.26ドルになり、その後2012年、2013年も平均価格は110ドル前後にとどまっている。原油価格は今や歴史的な高水準にある。

 以上はBrent原油の価格推移であるが、この間のBrent、WTI、ドバイ3原油を比較すると、まず1976年の3原油の平均価格はBrent 12.80ドル、WTI 12.23ドル、ドバイ 11.63ドルでBrentが最も高かった。しかし1980年になるとBrent 36.83ドル、WTI 37.96ドル、ドバイ 35.69ドルとなり、3原油の中でWTIが最も高くなった。これ以降2009年まで年間平均価格はWTIがBrentを上回る状態が続いている。

 ところが2011年の年間平均価格はBrent 111.26ドル、WTI 95.04ドル、ドバイ 106.18ドルとなり、WTIの価格はBrentを下回るのみならずドバイよりも低くなった。この傾向は2012年、2013年も続いており、Brent及びドバイが100ドル台を維持しているにもかかわらず、WTIだけは100ドルを切った水準にとどまっている。

 このようなWTIの最近の価格動向の最大の原因は米国のエネルギー開発業界を席巻しているシェール革命にあることは間違いない。シェール革命のさきがけとなったシェールガスの開発生産により米国内の天然ガス価格が急落、それにつられてWTI原油価格も弱含みとなった訳であるが、最近ではシェールオイルの生産が本格化し、米国の昨年の石油生産量はついに1千万B/Dを突破している(本稿3-4「主要国の生産量の推移」参照)。しかも米国は原油の輸出を禁止しているためWTI価格は国内の石油需給バランスにひきずられており、Brent或いはドバイ原油のような100ドルを超える水準を達成できないでいる。

 現在のところWTI原油は国際指標原油としての意義を問われていると言えるであろう。但し米国政府に原油輸出解禁の兆候が見られることに注目する必要がある。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする