石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

各社まずまずの業績:五大国際石油企業2014年4-6月期決算速報

2014-08-02 | 海外・国内石油企業の業績

 五大国際石油企業(ExxonMobil、Shell、BP、Total及びChevron)の4-6月期決算が相次いで発表された。
前年同期と比べた売上高、利益、設備投資の増減は各社まちまちであるが、石油・天然ガスの生産量は5社のうちシェルを除く4社が減少しており、シェルもわずかな増加にとどまっている。生産量の減少にもかかわらず売上高は4社が増加、売上高利益率は全社が昨年同期をうわまわっている。国際石油企業にとってはまずまずの業績であったと言えよう。

 各社の決算概要は以下の通り。
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-4-20.pdf参照)

 なお2008年から2013年までの通年の業績比較はレポート「五大国際石油企業2013年度業績速報シリーズ」を参照されたい。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0298FiveMajors2013.pdf 

1.売上高
 ExxonMobilの2014年4-6月の売上高は1,116億ドルであり、前年同期比で4.6%増であった。その他の4社は、Shellが1,153億ドル(前年同期比+0.8%)、BP 940億ドル(同―0.8%)、TOTAL626億ドル(同+1.9%)、Chevron579億ドル(同+1.0%)であった。

2.利益
 ExxonMobilの期間利益は88億ドル、前年同期比+21.9%であった。以下、Shell53億ドル(同+67.3%)、BP34億ドル(同+39.4%)、TOTAL31億ドル(同―9.1%)、Chevron57億ドル(同+5.3%)である。

3.売上高利益率
 売上高利益率はExxonMobilが7.9%、Shell 4.6%、BP 3.6%、Total 5.0%、Chevron 9.8%であった。各社の前年同期の利益率はそれぞれ6.4%、1.5%、2.2%、5.6%及び9.4%であり、いずれも今期の利益率は前年同期を上回っている。

4.原油・ガス生産量
 石油に換算した原油・天然ガスの合計生産量はExxonMobil 3,840千B/D、Shell 3,077千B/D、BP 2,106千B/D、Total 2,054千B/D、Chevron 2,545千B/Dであり、Shellは前年同期を0.5%上回ったが、その他の4社は減少しており、特にTotalはー10.3%の大幅な落ち込みであった。またExxonMobil、BPの両社も前年同期を6%下回っている。

5.設備投資
 2014年4-6月の各社の設備投資額はExxonMobil 98億ドル、Shell 85億ドル、BP 56億ドル、Total 80億ドル、Chevron 102億ドルである。このうちTotalは前年同期比4割増と大幅に増加した反面、Shellは24%減であるが、これによって両社の設備投資額はほぼ横並びとなった。Chevronは売上高では5社の中でもっとも少ないが投資額は最大であり同社の積極的な姿勢が顕著である。

詳細は各社ホームページ参照。
ExxonMobil 
http://news.exxonmobil.com/press-release/exxon-mobil-corporation-announces-estimated-second-quarter-2014-results 
Shell
http://www.shell.com/global/aboutshell/media/news-and-media-releases/2014/second-quarter-2014-results-announcement.html 
BP
http://www.bp.com/en/global/corporate/press/press-releases/bp-second-quarter-2014-results.html 
Total
http://www.total.com/en/investors/results/2014/second-quarter-2014-results 
Chevron
http://www.chevron.com/chevron/pressreleases/article/08012014_chevronreportssecondquarternetincomeof57billion.news

以上

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

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今週の各社プレスリリースから(7/27-8/2)

2014-08-02 | 今週のエネルギー関連新聞発表

7/28 住友商事    天然ガスおよびLNG事業等を通じた協力関係の構築に関する覚書をインドガス公社と締結 http://www.sumitomocorp.co.jp/news/detail/id=27959
7/29 BP    BP Reports Second Quarter 2014 Results http://www.bp.com/en/global/corporate/press/press-releases/bp-second-quarter-2014-results.html
7/30 Total    Second Quarter 2014 Results http://www.total.com/en/investors/results/2014/second-quarter-2014-results
7/31 ExxonMobil    Exxon Mobil Corporation Announces Estimated Second Quarter 2014 Results http://news.exxonmobil.com/press-release/exxon-mobil-corporation-announces-estimated-second-quarter-2014-results
7/31 Shell Royal    Dutch Shell plc second quarter 2014 results announcement http://www.shell.com/global/aboutshell/media/news-and-media-releases/2014/second-quarter-2014-results-announcement.html
8/1 Chevron   Chevron Reports Second Quarter Net Income of $5.7 Billion http://www.chevron.com/chevron/pressreleases/article/08012014_chevronreportssecondquarternetincomeof57billion.news

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BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:天然ガス篇5 生産量(1)

2014-08-02 | その他

2. 世界の天然ガスの生産量

(欧州・ユーラシアと北米で世界の天然ガスの6割を生産!)
(1)地域別生産量
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-2-G01.pdf参照)
 2013年の世界の天然ガス生産量は3兆3,905億立方メートル(以下㎥)であった。これは石油換算では30.6億トンであり、またフィート換算では日産3,280億立法フィートである。

 生産量を地域別にみると欧州・ユーラシアが1兆536億㎥と最も多く全体の31%を占めている。これに次ぐのが北米(8,991億㎥、27%)であり、これら二つの地域だけで世界の6割に達する。その他の地域は中東5,682億㎥(17%)、アジア・大洋州4,890億㎥(14%)、アフリカ2,043億㎥(6%)、中南米1,764億㎥(5%)であった。

 各地域の生産量と埋蔵量(前章参照)を比較すると、中東は埋蔵量では世界の43%を占めているが生産量では17%に過ぎない。これに対し北米は埋蔵量シェアが世界全体の6%にとどまるのに対して、生産量のシェアは27%に達しており、埋蔵量と生産量のギャップが大きい。その他の地域の埋蔵量シェアと生産量シェアは欧州・ユーラシアは埋蔵量も生産量もシェアは共に31%であり、アジア・大洋州は8%(埋蔵量)対14%(生産量)、アフリカ8%対6%、中南米4%対5%である。このことから地域別に見て天然ガスの生産を拡大できるポテンシャルを持っているのは中東及びアフリカ地域であると言えよう。

(他を圧倒する米国とロシア!)
(2)国別生産量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-2-T01.pdf 参照)
 次に国別に見ると、天然ガス生産量第1位は米国の6,876億㎥/年(665億立法フィート/日、6.3億トン/年)であり、全世界の生産量に占める割合は20%に達する。第2位はロシア(6,048億㎥、シェア18%)であり、この2カ国の生産量が飛び抜けて多い。米国はここ数年シェールガスの開発及び生産が顕著であり、埋蔵量及び生産量とも大幅に増加していることは注目に値する(前章「天然ガスの埋蔵量」参照)。

 この2カ国に続くのがイラン(1,666億㎥)、カタール(1,585億㎥)、カナダ(1,548億㎥)であり、米国或いはロシアのほぼ1/4である。6位から8位は中国(1,171億㎥)、ノルウェー(1,087億㎥)、サウジアラビア(1,030億㎥)であり、以上8か国が生産量1千億㎥を超えている。9位以下はアルジェリア(786億㎥)、インドネシア(704億㎥)、マレーシア(691億㎥)、オランダ(687億㎥)が名を連ねている。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp
 

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