石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:天然ガス篇22貿易量(9)

2014-08-28 | その他

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0322BpGas2014.pdf

 

6.カタールと日本の輸出入の動向(2006~2013年)(続き)
(少し落ち着いた日本のLNG輸入!)
(6-2)日本の場合
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-4-G08.pdf 参照)
 日本は世界一の天然ガス輸入国である。日本の輸入は全てLNGであり従って世界一のLNG輸入国でもある。日本のLNG輸入量は2006年の819億㎥から2008年には921億㎥に達した後、2009年、2010年と横ばい状態であった。しかし2011年には一挙に1千億㎥を突破2012年には1,188億㎥と過去最高を記録した。これは再三触れてきたように原発停止による火力発電用燃料として天然ガスの需要が急増したためである。2011年及び2012年のLNG輸入の対前年増加率は14.4%、11.1%と二桁台の大幅な伸びであった。しかし2013年の輸入量は1,190億㎥であり、前年比ではわずかな伸びにとどまり落ち着きを見せている。

 2006年から2013年までの日本のLNG輸入を相手国別に見ると、2006年はインドネシアからの輸入が186億㎥と最も多く、これに次いでオーストラリアが157億㎥、マレーシアが156億㎥であり、第4位以下にカタール(99億㎥)、ブルネイ(87億㎥)が続いていた。しかしインドネシアからの輸入は2008年の188億㎥をピークに173億㎥(09年)→170億㎥(10年)→128億㎥(11年)→84億㎥(12年)→85億㎥(13年)とここ数年で急速に減少し年間100億㎥を割っている。インドネシアは国内の天然ガス消費の増加により輸出余力が無くなっており数年先には純輸入国に転落するものと思われる。またマレーシアも同様の事情であり日本の輸入はここ数年200億㎥前後で頭打ち状態にある。

 これら両国に代わる輸入先がカタール、オーストラリア及びロシアである。特にカタールは原発事故以後のLNGの緊急輸入先として大きな存在感を示している。即ちカタールからのLNG輸入量は2006年から2010年まで100億㎥前後で推移していたが、2011年には1.5倍の158億㎥に急増、さらに2012年には200億㎥の大台を超え前年比35%増の213億㎥に達し、2013年の輸入量もほぼ前年並みの218億㎥となっている。

 オーストラリアの2013年輸入量は244億㎥で輸入国としてはトップである。オーストラリアでは日本企業が関与したLNGプロジェクトが建設中であり、今後安定した供給先となることが期待されている。ロシアは2009年に極東LNGプロジェクトが操業を開始し、同年37億㎥が日本に輸入された。その後輸入量は順調に増え2013年には同国から116億㎥を輸入、オーストラリア、カタール、マレーシアに次ぐ第4位の輸入国となっている。なお、LNG需要の急増に対して上記各国の他、UAE、エクアトール・ギニア、オマーン、ブルネイなど合わせて18カ国からスポット物を含めたLNGが輸入され調達先が多様化している。

(貿易量完)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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