石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

多様化する天然ガス貿易:BPエネルギー統計2015年版解説シリーズ(天然ガス篇11)

2015-07-30 | その他

(2009年に日本を超えた中国、増加の伸びが止まった日本!)
(4)日本、中国及びインドの消費量の推移(1980~2014年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-3-G03.pdf 参照)
 ここではアジアの三大国である日本、中国及びインドについて1980年から昨年までの消費量の推移を比較してみる。1980年の日本、中国及びインドの天然ガスの消費量はそれぞれ241億㎥、147億㎥、12億㎥であった。中国は日本の6割、インドはわずか20分の1に過ぎなかった。それでも同じ年の米国の消費量5,494億㎥と比べると日本ですら米国の20分の1以下だったのである。

 1980年から2000年までの20年間は日本とインドの消費量が急増する一方、中国の増加率は両国を下回った。このため2000年における3カ国の消費量は、日本723億㎥、インド264億㎥、中国253億㎥となりインドが中国を追い抜き、日本と中国の差は3倍に拡大した。

 しかし2000年以降中国の天然ガス消費量は急増、2005年には483億㎥に倍増した。2005年以降は増加のペースが加速し2009年には日本を追い抜き、2014年の中国の消費量は1,855億㎥、日本の1.7倍となっている。日本の場合は2000年から2010年までの年間平均増加率は3%であったが、2011年には一挙に対前年比12%の大幅増となり、2012年も前年比8%であり2年連続して高い増加率となっている。福島原発事故に伴う火力発電用LNG調達のためであるが、その後の2013年および2014年の対前年伸び率はそれぞれ0.0%およびー0.9%となり増加の勢いは止まった感がある。インドの消費量は順調に伸び、2011年には635億㎥に達したが、その後3年間は連続して減少、2014年の消費量は506億㎥である。これは日本の2分の1、中国の4分の1弱である。

 天然ガスは石油に比べてCO2や有害物質の排出量が少ない「環境に優しいエネルギー」として今後需要が拡大することは間違いない。世界的にも新しいパイプラインやLNGの液化・運搬・受入設備が増強されている。米国でシェールガスの開発生産が急増しており、また世界各地で新しいガス田が発見されるなど天然ガスの開発と生産拡大の余地は大きく、それに応じて今後も消費拡大のペースは続くものと思われる。特に日本の場合は原発事故の影響により今後も天然ガスの消費は高い水準を維持することになろう。また中国は今後ますます需要が伸びるものと見られ、最近ロシアと大型天然ガス購入契約を締結し消費の増加に対処しようとしている。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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