(注)本レポートNo.1~18は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0349BpOil2015.pdf
5.世界の石油精製能力(続き)
(日本を追い越したインドの精製能力!)
(2) 国別石油精製能力
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-5-T01.pdf 参照)
世界で最も高い精製能力を有する国は米国で、2014年は1,779万B/D、世界全体の18%の設備を所有している。第二位は中国の1,410万B/D(シェア15%)であり、両国だけで世界の3分の1の精製能力がある。精製能力1千万B/D以上はこの2カ国だけであり、第3位のロシアは634万B/Dである。
2011年に日本を追い抜いたインドの2014年の精製能力は432万B/Dであり前年と変わりないが、日本は前年より9.1%減の375万B/Dとなり、インドとの差は広がっている。石油消費量では日本が430万B/D、インドは385万B/Dで未だ日本が上回っているが(本稿「石油消費」の国別消費量参照)、精製能力では既にインドが日本を上回っているのである。日本では経済産業省の主導で精製設備の集約が推し進められる一方、インドは慢性的な精製設備不足に悩まされており(次項「精製能力の推移」及び主要国の「製油所稼働率」参照)、両国の精製能力の格差は今後ますます広がるものと思われる。
日本に次いで高い精製能力を有するのは韓国(289万B/D)で、さらに第7位以下はサウジアラビア(282万B/D)、ブラジル(224万B/D)、ドイツ(206万B/D)であり、10位のイラン以下は処理能力が200万B/D未満である。サウジアラビアは原油生産国であるが国内に数ヶ所の輸出専用製油所が稼働しており、石油製品の輸出により付加価値の増大を追求しているが、それと共に国内の石油製品の需要が急増しているため製油所の新設が相次いでいる。
精製能力を前年と比較すると上位10カ国の内、マイナス成長即ち精製能力を削減しているのは日本及び米国の2カ国であり、前年と変更ないのがドイツと韓国およびインドの3か国でその他の5か国は精製能力が増加している。日本の減少幅は上述の通り9.1%であり、米国は0.7%の微減である。日本の設備減少幅は他国に比べて際立って大きいことがわかる。これに対して中国の精製能力は前年比+6%であり、ロシア(+5.2%)、ブラジル(+6.8%)も相当高い能力増強を行っている。なかでもサウジアラビアは前年比11.9%の大幅増であり、2013年も18.9%増と2年連続で二桁成長している。日、米、独の先進消費国が設備を削減もしくは現状維持している一方、中国、ロシア、ブラジルのBRICs各国が設備の新増設を行っていることは象徴的である。
(続く)
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