石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

多様化する天然ガス貿易:BPエネルギー統計2015年版解説シリーズ(天然ガス篇2)

2015-07-19 | その他

1.世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)
(埋蔵量は34年間で2.6倍、可採年数は50~55年前後でほぼ一定!)
(3)1980~2014年の埋蔵量及び可採年数の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-1-G02.pdf参照)
 1980年末の世界の埋蔵量は72tcmであったが、2014年末のそれは187tcmであり、この34年間で2.6倍に増加している。埋蔵量は1990年、2001年及び2010年前後とほぼ10年毎に大幅に増加しており、以下のような4つの成長時期に分けることができる。

 1980年代は年率4%前後の割合で伸び、1988年末の埋蔵量は96tcmに達した(第1期)。そして1989年には対前年比11%の大幅な増加を示し同年末の埋蔵量は107tcmとなった。その後1990年代は年間成長率が平均2%とやや鈍り2000年末の埋蔵量は139tcmであった(第2期)。2001年は前年比10.3%増大し同年末の埋蔵量は154tcmに達したが、2002年以降2007年までは年間成長率が1%以下に停滞している(第3期)。2008年から埋蔵量は再び増加の兆しを見せ2010年及び2011年の対前年比伸び率はそれぞれ4.3%、5.3%であった(第4期)。2011年から2014年の埋蔵量は横ばい状態で2014年末は187tcfであり現在の第4成長期が高原状態に達しているようである。

 一方可採年数の推移をみると1980年代は50年台前半であったが1990年代以降は50年台後半を維持し、2001年及び2002年には可採年数は60年を超えている。2003年以降は50年台後半を維持しており、2014年の可採年数は54年となっている。上に述べた通り1980年から2013年まで可採埋蔵量は一貫して増加しており(但し2012年のみは対前年比で微減)、この間天然ガスの消費は大幅に伸びている(本編第3章「天然ガスの消費量」参照)。消費量が急激に増加するなかで可採年数が横這い状態となっているということは、世界各地で新しいガス田が発見され、或いは従来商業生産が難しいとされていたものが技術革新により実用化されたことを意味している。前者の新規ガス田発見の例としては中央アジアのトルクメニスタン、ロシアの北極海或いは東アフリカのモザンビーク沖における大型ガス田の発見があり、後者の技術革新の例としては米国のシェールガスや世界各国におけるコールベッドメタンの開発をあげることができる。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

多様化する天然ガス貿易:BPエネルギー統計2015年版解説シリーズ(天然ガス篇2)

2015-07-19 | その他

1.世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)
(埋蔵量は34年間で2.6倍、可採年数は50~55年前後でほぼ一定!)
(3)1980~2014年の埋蔵量及び可採年数の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-1-G02.pdf参照)
 1980年末の世界の埋蔵量は72tcmであったが、2014年末のそれは187tcmであり、この34年間で2.6倍に増加している。埋蔵量は1990年、2001年及び2010年前後とほぼ10年毎に大幅に増加しており、以下のような4つの成長時期に分けることができる。

 1980年代は年率4%前後の割合で伸び、1988年末の埋蔵量は96tcmに達した(第1期)。そして1989年には対前年比11%の大幅な増加を示し同年末の埋蔵量は107tcmとなった。その後1990年代は年間成長率が平均2%とやや鈍り2000年末の埋蔵量は139tcmであった(第2期)。2001年は前年比10.3%増大し同年末の埋蔵量は154tcmに達したが、2002年以降2007年までは年間成長率が1%以下に停滞している(第3期)。2008年から埋蔵量は再び増加の兆しを見せ2010年及び2011年の対前年比伸び率はそれぞれ4.3%、5.3%であった(第4期)。2011年から2014年の埋蔵量は横ばい状態で2014年末は187tcfであり現在の第4成長期が高原状態に達しているようである。

 一方可採年数の推移をみると1980年代は50年台前半であったが1990年代以降は50年台後半を維持し、2001年及び2002年には可採年数は60年を超えている。2003年以降は50年台後半を維持しており、2014年の可採年数は54年となっている。上に述べた通り1980年から2013年まで可採埋蔵量は一貫して増加しており(但し2012年のみは対前年比で微減)、この間天然ガスの消費は大幅に伸びている(本編第3章「天然ガスの消費量」参照)。消費量が急激に増加するなかで可採年数が横這い状態となっているということは、世界各地で新しいガス田が発見され、或いは従来商業生産が難しいとされていたものが技術革新により実用化されたことを意味している。前者の新規ガス田発見の例としては中央アジアのトルクメニスタン、ロシアの北極海或いは東アフリカのモザンビーク沖における大型ガス田の発見があり、後者の技術革新の例としては米国のシェールガスや世界各国におけるコールベッドメタンの開発をあげることができる。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする