石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

多様化する天然ガス貿易:BPエネルギー統計2015年版解説シリーズ(天然ガス篇3)

2015-07-20 | その他

1. 世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)
(昔も今も中東と欧州・ユーラシアが二大埋蔵地域!)
(4)地域別の埋蔵量推移(1980年~2014年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-1-G03.pdf参照)
 埋蔵量の推移を地域別に見ると、1980年は中東地域が世界全体の34%を占め最も大きく、次いで欧州・ユーラシア地域が33%であり、この2地域で世界の埋蔵量の67%を占めていた。2000年代初めには両地域の比率は中東42%、欧州・ユーラシア30%となり両地域の埋蔵量格差は拡大しており、2014年末はそれぞれ43%と31%である。両者の合計シェアは74%であり1980年当時よりも高くなっている。

 これに対して北米地域のシェアは大きく低下している。1980年に世界の14%を占めていたシェアは1990年には一ケタ台の9%に落ち込み、さらに2000年以降は5~6%にとどまっている。現在米国ではシェール・ガスが盛んに開発されこれを含めた2014年末のガス埋蔵量は1980年の10兆tcfを上回る12兆tcfに達し、埋蔵量の世界シェアは6%で推移している。このように現在埋蔵量が1980年当時を上回っているにもかかわらず世界に占めるシェアが半分以下に落ち込んでいることには二つの理由が考えられる。即ち第一の理由は北米以外の地域(特に中東、欧州・ユーラシア地域)でガス田の発見、或いは既存ガス田の見直しが行われ埋蔵量が大幅に増加したことであり、第二の理由は北米が天然ガスの最大の消費地域であるため(消費量については後述)、シェール・ガスの生産が消費とバランスしており、シェール・ブームではあっても埋蔵量の追加にはならないためと考えられる。

 その他の地域ではアフリカ及び中南米のシェアはそれぞれ8%と4%であり、このシェアは過去30年以上殆ど変っていない。なお前項に述べたとおり世界の天然ガス埋蔵量は1980年以降毎年増加しており、2014年は1980年の2.6倍に達している。このことはアフリカ及び中南米地域の埋蔵量も世界全体と同じペースで増加していることを示している。

 アジア・大洋州地域は1980年のシェア6%から徐々にあがり1999年以降は9%に達したが現在のシェアは8%である。世界経済の発展に伴い地域の天然ガスの探鉱開発が活発化した結果、埋蔵量シェアが増加した訳であるが、近年同地域における天然ガス需要が急増し生産が消費に追いつかないため、埋蔵量が減少する傾向にあると言える。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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