石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

上流(生産)と下流(精製)の利益が逆転:五大国際石油企業2015年4-6月期決算速報(1)

2015-08-03 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0351OilMajors2015-2ndQtr.pdf

 

 スーパーメジャーと呼ばれる五大国際石油企業(ExxonMobil、Shell、BP、Total及びChevron)の4-6月期決算が相次いで発表された。ここでは売上高、利益、売上高利益率、石油・天然ガス合計生産量及び設備投資の五項目について各社の業績を横並びで比較するとともに各社の前年同期との増減を検証する。

 決算の詳細は以下の各社のホームページを参照されたい。
ExxonMobil:
http://news.exxonmobil.com/press-release/exxonmobil-earns-42-billion-second-quarter-2015
Shell:
http://www.shell.com/global/aboutshell/media/news-and-media-releases/2015/second-quarter-2015-results-announcement.html
BP:
http://www.bp.com/en/global/corporate/press/press-releases/second-quarter-2015-results.html
Total:
http://www.total.com/en/media/news/press-releases/second-quarter-and-first-half-2015-results
Chevron:
http://www.chevron.com/chevron/pressreleases/article/07312015_chevronreportssecondquarternetincomeof571million.news

 なお2008年から2014年までの通年の業績比較はレポート「五大国際石油企業2014年度業績速報シリーズ」を参照されたい。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0337OilMajors2014.pdf  

1. 五社の4-6月期業績比較
(表:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-4-22.pdf 参照)
 五社を横並びで比較すると売上高、利益、生産量の3部門でExxonMobilがトップである。また売上高利益率ではTotalが、また設備投資はChevronがトップである。ExxonMobilは売上高利益率および設備投資額ではNo.2であり安定した決算は横綱の貫禄がある。これに対してBPは売上高こそShell、ExxonMobilに次いで3番目に多いものの、他の4社が利益を計上している中で同社だけが大幅な欠損を出している。また生産量および設備投資額が五社の中では最も少ないなど他の四社に比較してかなり見劣りのする決算業績となっている。

(1) 売上高(図:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-25.pdf参照)
 2015年4-6月の売上高は5社ともに前年同期に比べ30%前後の大幅な減少であった。これは言うまでもなく原油価格が暴落したためである。因みに北海Brent原油で見ると、昨年第二四半期はバレル当たり110ドル台であったものが、今年の同時期は65ドル前後と30%以上下落している。原油価格の下落がそのまま各社の売上高減少に反映されたと言えよう。
この結果、ExxonMobilの売上高は741億ドル(前期比-33%)、Shell740億ドル(同-36%)、BP 606億ドル(同-36%)、Total 447億ドル(同-29%)、Chevron 404億ドル(同-30%)であった。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

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